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人気のリノベーション物件「耐震」チェックしないと危険
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.03 06:00 最終更新日:2018.08.03 06:00
東京を襲うマグニチュード7クラスの首都直下地震は、30年以内の発生確率が70%とされており、いつ起きても不思議ではない。
首都直下地震が起きた場合、とくに危険な建物はどれか。東京都は2018年3月に、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた大規模建築などの耐震診断結果を公表した。そのなかには紀伊國屋ビル、ニュー新橋ビルなど、街のシンボル的な建物が数多く含まれていた。
都が公表したのは、大規模な施設だけではない。地震の際に緊急車両が通る、幹線道路沿いの高層建築も公表の対象となった。そこには倒壊の危険性が「高い」と評価されたマンションが、いくつもあった。
「東京都は2013年に『マンション実態調査』をしています。そのとき、旧耐震基準での診断だった分譲マンションは17.1%、耐震のための改修を実施していたのは5.9%でした。5年たった今も、その数字は大きく変わっていないとみられます」(住宅ジャーナリスト・山本久美子氏)
なぜ耐震化は進まないのか。
「お金をかけたくない、という人が多いんです。それに、もし診断を受けて耐震性が低いとなれば売れなくなる、と考える方も多いんです。管理組合そのものがないマンションもあります」(同前)
小池都知事は6月の都議会所信表明で、老朽化したマンションに修繕費積み立て状況などの報告を義務づける、条例の制定を目指す考えを明らかにした。
「これまでは、個人の財産に行政は関与しないのが基本スタンスでした。しかし耐震化の要望や要請を出しても、なかなか動きだしません。防災が喫緊の課題となっている今、行政がさらに踏み込んでいくという意思表示です。この動きは今後、全国に広がっていく可能性があります」(山本氏)
山本氏によれば、新基準で建てられた建物でも、1階部分が駐車場や、柱のない広いスペースになっている「ピロティ構造」の建築物は倒壊の危険性が高いという。また、人気のリノベーション物件も注意が必要だ。
「リノベ物件の多くは、旧耐震基準で建てられたマンションです。古い物件を一棟丸ごと業者が買い取り、耐震改修をしたなら問題はありませんが、問題は一戸ごとのリノベ物件。マンションは一戸ごとの耐震改修はできません。
古い物件を購入して、自らリノベしようという方は、そのマンションの耐震診断がどうなっているか、しっかり調べる必要があります。旧耐震基準の物件には、かなり安く買えるものがありますが、値段だけで飛びつくのは危険です」
大都市で危険を回避するためには、知識と情報が不可欠なのだ。