直腸ガンと聞くと、人工肛門を連想する人は多いだろう。加藤由正さん(66)も2011年4月、直腸ガンで人工肛門にせざるをえないと、医師から告げられた。
「『人工肛門にはなりますが、死にはしません』と言われましてね。そうはいっても、できれば避けたい。家族とも相談し、セカンドオピニオンをお願いすることにしました」
発見時で、肛門から2センチの場所に4センチのガン。リンパ節にひとつ転移があったため、進行性の直腸ガンステージ3aだった。がん研有明病院と国立がん研究センター中央病院を受診した。
「受診したなかで、がん研究センターの先生が『自然肛門を残せるかもしれない』と。それに賭けてみようと思い、お願いしました。念のため、手術室に人工肛門が持ち込まれるほど、確率は低かったのですが、幸い自然肛門を残すことができました」
ガンに関する支出と収入については、表のとおり。保険は、日本の大手生命保険と、外資系の生命保険のガン保険に加入していた。
「アフラックのほうは、当時、1年の掛金が1万7000円足らず。その金額で保障は入院一日につき1万円、さらに 20日以上の入院をすると、自宅療養費として20万円が支払われるんです。
私の場合、入院して2週間を過ぎたころ、医師から『そろそろ退院してもいいよ』と言われたのですが、そこは “そろばん” をはじいて(笑)、20日間、入院しました」
退院後は、抗ガン剤による治療がスタートした。処方された「ゼローダ」を2週間飲み続けて、1週間休む。この3週間が1クールで、8クール、計24週間、繰り返す。
「薬代は、1クール分で2万円以上。20万円の自宅療養費を給付してもらえて、本当に助かりました(笑)」
退院の約1カ月後には職場復帰を果たした。現在では普通の食事もできる生活に戻ることができたが、変わったことがいくつかある。
「手術のとき、肛門括約筋を傷つけざるをえなかったようです。そのため、便を我慢できなくなったんです。そのせいで、ズボンを何本かダメにしました。
今は、おむつ用の紙のパッドを当てて、その上からメッシュ地のパンツを穿いています。荷物が増えたし、余分なお金もかかります。なによりガンと引き換えに、排便の爽快感を失いました」
現在、加藤さんは特定非営利活動法人「ブレイブサークル運営委員会」役員として、大腸ガン検診普及に努めている。
「大腸ガンは、早期発見ならほぼ完治します。私も娘に尻を叩かれて検査に行った口なので、ぜひ、皆さんに検診を受けていただきたいです」
(週刊FLASH 2018年6月19日号)