ライフ・マネー
【実録】ガンになったらどれだけお金がかかる?森山さんの場合
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.06 06:00 最終更新日:2018.08.06 09:25
「『なんで僕が?』って。病院からの帰りの電車で、斜め前に座っていた高齢の男性を見て『この人より先に死ぬんだ』って思ったことを、今でも覚えています」
2010年9月、38歳で肺腺ガンのステージIと診断された森山宏則さん(45)は、当時をそう振り返る。翌月、手術で右肺の上葉とリンパ節を切除した。その後は食生活を見直し、タバコもやめたが……。
「1年半後に、再発を告げられました。左肺など、3カ所に転移していて、ステージ4の診断でした。ステージ4の肺ガンの5年生存率は、4.5%だそうです。死刑判決を受けたような気分で、しばらくは、夜になると泣いていました」
だが、遺伝子研究が進み、ガン細胞をピンポイントで攻撃する「分子標的薬」が、森山さんのガンに効果を表わした。
「僕の遺伝子は、肺腺ガンの約3〜5%が該当する『ALK』というタイプで、『ザーコリ』という薬を服用したところ、1カ月後には、CTの画像上でガンが消えていました。
ただ、この薬は脳には届かないため、転移が防げないんです。私は3度、脳に転移し、ガンマナイフ(脳の一点に放射線を集中放射する治療法)を受けました」
ザーコリを4年服用し、森山さんの体には薬への耐性ができてしまった。そこで2017年2月から服用しているのが「アレセンサ」。こちらは脳へも届くため、転移の心配は減った。
しかしこのアレセンサ、1錠6614円。一日4錠服用するので、薬代は1カ月で80万円近くになる。
「僕は最初の入院から、国の高額療養費制度を利用しているので、月の支払いはずっと、4万4400円。また、仕事が専門学校の教員で、私学共済に入っています。そこから毎月、医療費の補助として1万9000円が振り込まれます」
これらの制度がなければ、とても薬代は払えない。
「僕のガンは、薬で抑えている状態です。僕にとっては『命の薬』。高いとは思いません。薬があれば、肺ガン=死ではないと、多くの人に伝えられれば」
(週刊FLASH 2018年6月19日号)