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【目指せ不思議スポット】1万5000年の歴史を持つ最古の神社

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.19 11:00 最終更新日:2018.08.19 11:00

【目指せ不思議スポット】1万5000年の歴史を持つ最古の神社

幣立神宮

 

 日本には現在、およそ8万5000もの神社があるという。それらの中には1000年以上の歴史を持つ神社が珍しくないが、日本で最も古い神社を特定するのは非常に難しい。

 

 一般的によく名が挙がるのは、三輪山を御神体とする奈良県の大神神社や、縁結びのご利益で知られる島根県の出雲大社、同じく日本最古の大社造りの本殿を持つ神魂神社、三女神を祀る福岡県の宗像大社といったあたりで、いずれも創建の詳しい時期は特定されていない。

 

 

 ただし、おおよその目安として古墳時代や平安時代と伝えられたり、神武天皇が在位する前の紀元前660年以前とされたり、たいていの考察では1500〜3000年前の期間に収まっている。

 

 ところが、そうした一般論を根底から覆す神社がある。熊本県幣立神宮は、なんと1万5000年前の創建と伝えられているのだ。これが事実なら他の追随をまったく許さず、ぶっちぎりの最古認定で間違いないだろう。そもそも日本の歴史や人類史も書き換えを要する一大事だ。

 

 幣立神宮の創建は、どのように伝えられているのか。

 

 慶長年間(16世紀?17世紀初頭)に記された縁起書によれば、神武天皇の孫にあたる健磐竜命が、日向(現在の宮崎県)から高千穂を通ってこの地に差し掛かった際、1羽の白鳥に導かれた場所に幣帛(へいはく)を立てたのが始まりとされている。幣立神宮の名の由来もここにある。

 

 長い歴史を持つ神社において、こうした神話に彩られた伝承は決して珍しいものではない。しかし幣立神宮の社伝は、ここが九州の中心であるだけでなく、世界の中心、ひいては宇宙の調和を保つ重要拠点であるとしているから圧倒される。

 

 伝えられるところによれば、かつて人類が万物の霊長としての力を与えられた際、人類に和合の心がなければ宇宙全体にひびが生じるため、天の神様(宇宙の意思)が万物和合の原点としてここに降臨したという。

 

 地図上で見れば、幣立神宮はたしかに九州のちょうど中心あたりに位置しているのがわかる。だからといって宇宙のバランスを保つ役割を担っているというのは、さすがに飛躍が大きい気がしなくもないが、一方でもう少しだけ現実に寄った話もある。

 天照大神の岩戸隠れについて、日向の風土紀にはこの際に起こった現象について、「天暗く、昼夜わかず、人道を失い、色別き難しかりき」と記されている。これは阿蘇の噴火を示した記録ではないかという見方があるのだ。

 大規模な噴火によって長く降灰が続いたことにより、太陽の光が遮断され、農業は壊滅的な被害を受け、人々は飢えに苦しんだ。しかし、豊かな水源に恵まれた高台にある幣立神宮周辺の森は、そうした被害を免れ、神々はここで籾を育てて人々に提供したという。

 

 実際にこの界隈では、原始的な棚田水田が見られることから、天孫降臨とは稲作文化の発信と普及の物語と解釈できる、というわけだ。幣立神宮を起こした健磐竜命は阿蘇開拓の神として知られるだけに、腹落ちのいい説ではある。

 

 幣立神宮の本殿には「五色神面」が奉納されている。常時一般公開されるものではないが、メディアにもたびたび取り上げられるこの面は、すべての人種の肌の色を意味する、赤色・白色・黄色・黒色・青色の5色を示している。

 

 幣立神宮では古来より、神々が集まって全人類(つまり5色の人種)の幸福と平和を願っていたとされ、毎年8月に催される五色神祭には世界中から参拝者がやって来る。

 

 なんとも不思議だが、僕たちの知らない歴史と通じている幣立神宮は、言いようのないロマンに満ち溢れている。

 

 

 以上、友清哲氏の新刊『消えた日本史の謎』(知恵の森文庫)から再構成しました。謎の構造物、おかしな物体、奇妙な伝承、未解明のパワースポット…不思議をめぐる旅の記録です。

 

●『消えた日本史の謎』詳細はこちら
https://honsuki.jp/stand/5050.html

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