また、週刊新潮は「タンパク加水分解物」「酵母エキス」「調味料(アミノ酸等)」を、味覚障害を起こすことがある「味覚破壊トリオ」として批判しているが……。
「科学的根拠がしっかりしたもののなかで、そういう研究報告はいっさいありません」(長村教授)
「調味料(アミノ酸等)」とは、グルタミン酸ナトリウムに代表される化学調味料などを指す。添加物と同じく、批判の対象になりやすい。
「薄味でおいしくない病院食を、化学調味料を上手に使うことで、おいしい食事に変えることができます。それにより、入院患者の病状が劇的に改善した例は、いくつもあります。末期のガン患者であっても、口から食べることで元気になります。大きな効果が確かめられているんです」(長村教授)
「添加物、化学調味料はダメ」という発想が、世の女性を苦しめている面もある、と指摘するのは前出の森田氏だ。
「添加物が危ないと信じてしまうと、手作りか無添加の食品を買うしかないと、追い詰められてしまいます。それでは時間もお金もかかります。
しかもこんな暑い時期に、無添加ハムのサンドイッチをお弁当として持たせるのが、本当に愛情といえるでしょうか」
記録的な「殺人酷暑」が続く昨今、無添加にこだわるのはまったくの時代錯誤だと、両氏は声を揃える。
「昭和40年代までは、たしかに問題のある添加物が使われたことがあります。しかしその後、何度かにわたって食品衛生法が改正され、時代は大きく変化しました。
日本では保健所がスーパーなどで食品を収去(抜き取り採取すること)し、検査などで添加物が適切に使用されているかチェックしています。
しかし残念ながら、真面目に食のことを考えている人ほど『添加物は危ない』という話を真に受けてしまいがちです。もっと大きなリスクである、食中毒などの問題に目がいかなくなることが心配です」(森田氏)
「安全が確認されている添加物をうまく使うことで、消費期限が伸びて、廃棄食品も減ります。国民全体の健康、社会全体にも大きな影響があるのです。食品の安全が担保されている現状で、なお『添加物は危険だ』と騒ぐのは、ある意味 “平和ボケ” といっていい。
健康な食生活とは、どんな食品をどんな割合で食べるかによって決定するもので、添加物を避けることではありません」(長村教授)
「食べてはいけない」に、騙されるな!
(週刊FLASH 2018年8月7日号)