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吉田戦車、テレカで電話するも減り続ける10円にイライラ

ライフ・マネー 投稿日:2018.10.17 11:00FLASH編集部

吉田戦車、テレカで電話するも減り続ける10円にイライラ

 

 いわゆる「スマホ依存」の問題について耳にすることがあるが、私はさすがにおっさんであり、重度の依存はしていないようだ。

 

 もちろんSNSや、ニュース、天気予報、各種検索、あるいは電子書籍など、外出先でヒマだと、すぐ画面を開く傾向にはある。今はゲームをしていないが、している時の依存度もなかなかのものであった。最近はかなり大丈夫だ。

 

 

 先日映画の席を予約して、新宿に向かったのだが、到着手前で「あ、スマホ忘れた」と気づいた。一瞬「ま、いっか」と思ったが、映画が時間、座席指定であることに気づき、愕然とした。スマホにチケット購入確認メールが届いていて、予約番号などはそこにあるわけだ。

 

 会員登録していない映画館で、カードも持っていない。支払いは「楽天ペイ」というWEB決済。その手続きのあれこれもすべてインターネットの中だ。

 

 あせった。一時は映画代1800円をあきらめかけた。しかし、こちとらアナログ時代からインターネット黎明期を経て、様々な通信方法とつきあってきた50代なかばだ。とりあえず現状をすばやく確認する。

 

 前回買った1000円腕時計を持ってきていた。上映開始が10時50分というのは記憶していて、時間にはまだ余裕がある。カード入れに、非常時用のテレホンカードが入っている。

 

 そして、これが手柄だが、妻の携帯番号を記憶していた。東日本大震災のあと、それまでうろおぼえだった妻の携帯番号を、意識的に記憶した。今も電話する時は、忘れないように、番号をキー入力して電話する。

 

 なんとかいけるぞ、よし。その前に、メモ用の筆記具が必要だ。ペンとメモ帳も、最近ではスマホで代用できるので、持ち歩いていなかった。

 

 新宿駅構内の売店で、ゼブラのボールペン「サラサクリップ」を買う。税込み100円。紙は、旅行チラシを適当にもらった。

 

 改札を出て、さあ電話だ。妻、出ない。何度かかけ直す。固定電話にもかける。出ない。少し移動してちがう電話機を探してかける。出ない。

 

 留守電に着信するので、そのたびに10円がカシャカシャ支払われていく。カード度数に余裕はあるが、上映時間がどんどん迫ってきていた。

 

「草むしりか? それとも二度寝か」などとイライラしたが、悪いのは自分である。うっすらとあきらめかけたあたりで、9回目にしてようやく出てくれた。素早く状況を説明し、私のスマホを見てもらう。

 

 妻も「知らない女からのメールでもあったらいやだな……」などと思いながら見てくれたのだと思うが、無事予約番号を聞き、メモすることができた。

 

 上映まであと5分。映画館に駆け込み、無事発券。もしもの時のための、いろいろな備えが大事と、心底思いました。

 

よしだせんしゃ 
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。近刊に『忍風! 肉とめし 1』『来れば? ねこ占い屋』(ともに小学館)。

 

※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載
※本誌連載の単行本が10月23日発売!

(週刊FLASH 2018年10月16・23日合併号)

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