50代日本人の8割がかかっているといわれる歯周病。全身疾患と密接な関係があることが明らかになり、「万病のもと」といわれていることをご存じの方も多いだろう。
「歯の表面に汚れが溜まり、細菌が繁殖するのがプラークで、むし歯や歯周病の原因となります。それが歯と歯ぐきの間に入り込むと、歯ぐきがうっすらと腫れてきて赤くなる。これが初期段階の歯周病である歯肉炎です」
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こう話すのは、日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座の沼部幸博教授だ。
「歯肉炎が進むと、赤く腫れた部分が広がり、歯の周りの骨が溶け始める歯周炎に。軽度、中等度、重度と進み、最後には骨が溶けて、歯が抜けてしまいます」(沼部教授、以下同)
進行するまで自覚症状が少ないのが歯周病である。それゆえ「自分は毎日ちゃんと歯磨きしているから大丈夫」という人でもけっして安心はできない。どうすれば早期発見ができるのだろう。
「いちばんわかりやすいのは歯磨き時の出血です。腫れている歯ぐきは、歯ブラシの毛先が当たると出血しやすい。出血に気づいたら、とにかく歯科医院に行ってください。
そのまま放っておくと歯周病が進行し、歯ぐきの腫れが大きくなり痛みが出たり、場合によっては膿が出て歯が揺れ始めます。そうなってからやっと、おかしいと気づく人が多いのです。また口臭も歯周病のサインです。
進行した歯周病は歯科医院でプラークや歯石を取り除いてもらわないと治りません。気づいたら早めに歯科医院で診てもらってください」
鶴見大学歯学部臨床教授で武内歯科医院(神奈川・綾瀬市)の武内博朗院長は「プラークはプロの手を借りないと取りきることは不可能」だと断言する。
「プラークは食べかすではありません。バイオフィルムとも呼ばれ、多くの細菌とそれらが分泌する物質の塊です。キッチンの三角コーナーや風呂場の排水溝のヌルヌルしたもの。まさにあれと同じです。
歯周病にかかっている人もまだかかっていない人も、3、4カ月に一度は歯科医院で口の中をリセットしてもらうべきです」(武内院長)
以下の項目にひとつでも当てはまる人は注意だ。
・歯ぐきがピンク色ではなく、赤色だ
・歯ぐきが腫れている
・歯を磨くと出血する
・歯がグラグラする
・口臭がある
・口の中がネバネバする
続いて解説する各ステップの詳細を参考に、自分の歯周病の進行具合をチェックしよう。