年末年始は楽しみなイベントが目白押しだ。そんなときに限って、体調に異変が起こるのはなぜなのか。1年の疲れや、寒暖差、夜晩くまでの飲食により、免疫力が低下していることも大きな原因ではある。
しかしじつは、日常のふとした行動にも、その体調不良の原因が潜んでいる。書籍『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』の著者で、病理専門医の資格を持つ、医療機関再生コンサルタントの裴英洙氏が、風邪予防のために着ける「マスク」の落とし穴について警告する。
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「はっきり申し上げますが、マスクで風邪は防げません。市販されているマスクのフィルターは目が粗いんです。目が細かい、医療用のものも存在はしますが、がっちり顔を覆う構造のため苦しいうえ、高価で手に入りにくい。
ただ、自分からウイルスを放出することを防ぐ役割はあります。ですからわたしは、『マスクの半分はやさしさでできている』と言っているんです(笑)。
あとは、加湿という意味では効果もあります。乾燥すると口や鼻の中の粘膜は傷つきやすくなりウイルスが侵入しやすくなります。湿度が低い冬はとくに、マスクをして口内を潤しておくメリットは少なくありません。
ポイントは、人が多い場所を通過したり出入りするたびにマスクを新しいものに付け替えることです。替えないとどうなるのか。ウイルスが混じった他人の飛沫をつけたままのマスクをずっとしている、と想像してください。
多少コストはかかりますが、絶対に風邪をひけないとき、リスクを極力抑えるためには惜しくない投資だと思います。ご自身やご家族がプレゼン、受験など勝負がある時期には『1場所1マスク』を徹底されてみては」
裴 英洙(はい えいしゅ)
1972年生まれ 医師にして医療機関再生コンサルタント。金沢大学医学部卒業後、医師として勤務。その後、同校大学院医学研究科を修了し、病理専門医(=病気の原因を究明する医師)に。さらに、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を修了し、医療機関への経営支援などをおこなう。医療に関する著書も多数
※『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』(ダイヤモンド社)が発売中