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作画用iPadセットを購入「吉田戦車」でも機械は裏切るから…

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.01.16 11:00 最終更新日:2019.01.16 11:00

作画用iPadセットを購入「吉田戦車」でも機械は裏切るから…

 2018年秋に発売された新型「iPad Pro 12.9インチ」を買った。ざっと12万円。同時に、「Apple Pencil」、カタカナで書くと「アップルペンシル第2世代」というのも買った。ざっと1万5000円。アップルペンシルでの描画がやりやすくなるというペーパーライクな画面保護フィルムも買う。2000円ほど。

 

 かなりの散財だが、設備投資である。これで、自宅じゃない場所でもマンガを描くことができるのだ(たぶん)。たとえば温泉宿にこもり、ネームから下描き、ペン入れ、仕上げ、入稿まで全部できる。

 

 

 ヒマつぶしの動画、音楽、本まで持ち歩けるわけで、まさに魔法の板。そのうちご飯も作ってくれるようになるのではないか。

 

 そうそう、そのために、月に何回外で仕事をすることがあるのかわからないが、月額数千円のモバイルWi-Fiも契約した。2年契約で、2年おきの1カ月間しか無料解約できない、というよくあるシステムに腹を立てる。

 

 レンタルWi-Fiという手もあるかもしれないが、実家に帰省することが増えてきた、という状況への対応なので、何をどうするのがベストなのか、まだはっきりと見えてこないのだった。

 

 数日後、仕事に余裕ができた時、ようやくiPad Proを立ち上げ、使いはじめた。今までiPad Airを使ってきたので、使い勝手はわかっている。基本操作にそれほど変わりはない。

 

 画面がでかく、きれいになったからといって、動画を楽しむでもゲームをするでもない。メーカーの開発スタッフにとっては、張り合いのないつまんないユーザーであろう。

 

 さっそく、某コミック・イラスト制作アプリをダウンロード。クラウドで連動させるために、PCにもPC版をインストール。まだ試用段階なので、アプリ、ソフト名は伏せておく。

 

 FLASHのイラストを、機能を探りつつ、まず描いてみた。教科書や参考書はないので、いちいち「やりたいこと」を検索しながら覚えていくのだが、なかなかしんどい。たいへん疲れた。今のところ、以前の倍ぐらい作業時間が増えている。

 

 すぐ慣れて省力化できるかもしれないのだが、便利な機能と引き換えに、目や肩へのダメージが大きくなったような気がしないでもない。

 

 そしてたいへんあせったのだが、描きながら1度、アップルペンシルとiPadの接続が切れたことがあった。電源を1度切ったりしてなんとかなったのだが、しょせん機械である。「人間ヲ・困ラセテ・ヤロウ」などと、いつ考えはじめないとも限らない。頼りきるのは危険だ、と思った。

 

 そのための保険として、少々放置ぎみになってしまうかもしれないけれど、常に紙、ペン、シャーペン、定規、消しゴム等のホコリをはらい、「アナログのお絵描き」をしておかないとな、と思うのだった。


よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。近刊に本連載の単行本『ごめん買っちゃった』、そして、『忍風! 肉とめし2』が発売中!

 

(週刊FLASH 2019年1月22日号)

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