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【食堂のおばちゃんの人生相談】43歳・イラストレーターのお悩み

ライフ・マネー 投稿日:2019.01.18 11:00FLASH編集部

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/坂本じゃないさん(43)イラストレーター

 

 小学校の同窓会でタイムカプセルを開けたら、自分宛の手紙が入っていて「お前が本物の僕なら、合言葉に答えろ。『坂本!』」とあった。だがまるで心当たりがなく、坂本という友人もいない。気になって仕方ないのだが、思い出す方法はないだろうか?

 


【山口先生のお答え】

 

 記憶って厄介ですよねえ。今の私は昨日食べたご飯の中身も忘れてしまうテイタラクですが、若い頃は記憶力には自信があったんですよ。それに、最近のことは全部忘れるのに、子供の頃や学生時代の出来事はよく覚えていたりするんです。

 

 そういえば数年前、母に「あんたは大学生の頃『20歳より50歳になった時の方が評価の高くなる仕事をしたい』って言ってたね」と言われたのですが、私、まるで記憶にないんですよ。そんな大事な話、どうして忘れたのかしら。

 

 というわけで、人は大事なことも忘れてしまう生き物なので、「坂本!」を忘れても仕方ないと思います。多分「坂本」は当時のあなたの “マイブーム” だったのでしょう。でもそれは終わってしまい、記憶からも抜け落ちてしまったんです。だから思い出す必要もありません。

 

 記憶に留めておかないといけないことが、人生には山のようにあります。だからどうでも良いことはどんどん忘れて良いのです。

 

 もし「坂本」があなたの人生に本当に必要なことならば、いつか誰かが思い出させてくれるでしょう。あるいは思い出すきっかけを与えてくれるはずです。母が私に思い出させてくれたように。


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都・千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。最新刊『婚活食堂』が発売中

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