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吉田戦車、関節可動フィギュアを買うも決めポーズに興味なし

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.02.27 11:00 最終更新日:2019.02.27 11:00

吉田戦車、関節可動フィギュアを買うも決めポーズに興味なし

 

 各関節が可動するフィギュアが好きだ。好きだが、そんなには持っていない。持ってる人から見れば赤子同然だろう。こづかいや置き場所の問題もあるが、そもそも収集癖というものがあまりないのだ。

 

 ある程度の大人買いもできる歳になったのに、買うことに対してはどんどん慎重になっていく。それには自制心以外の理由がある、と最近気づいた。

 

 私が小学生の時、夢中になって遊んだのが、タカラの「ミクロマン」である。その、当初はテレビ番組が原作ではなかった、SFの香り漂うシリーズが欲しくて欲しくて、こづかいやお年玉をためて購入した。

 

 

 複数買い集めたり、乗りものや武器をすべて買う余裕はなかったので、1、2体を大事にして、独自の「おれミクロマンワールド」を脳内展開させ、コタツのまわりなどで遊んでいた。特に「タイタン」という、肩と股関節が球体磁石でできているキャラには惚れ込んでいたっけ。

 

 今も私の中にある「各関節が動くフィギュアが好き」という思いは、まちがいなくミクロマンに植えつけられたものだ。その流れで、人生の折々に、「全身可動ケンシロー」とか「特撮リボルテック」のアイアンマンとか、「S.H.フィギュアーツ」のウルトラマンなどを買って、それなりに楽しんできた。

 

 食玩の関節可動するヒーローシリーズも、近所のスーパーを駆けずり回って集めたりした。その程度には愛好しているのに、「欲しいと思ったものはとりあえず買う」というようなことが減ってきた理由は何か。

 

 それは、「手」である。ポーズに合わせて脱着できる、様々な形の「手」。あれがどんどん増えていくのがわずらわしい。引き出しの中に何個あるんだ、いろいろなヒーローのいろいろな手が! あれを付け替えて、それにふさわしいポーズをさせて遊ぶことなど、買ってせいぜい1、2回。

 

 私に必要なのは、手の指が開閉して、物をしっかりつかめるようなギミックである。『仮面ライダードライブ』の「タイヤ交換シリーズ」がそうだった。いろいろなものをつかませて楽しく遊んだあとに、近所の「ライダー仲間」だった幼稚園男子にあげた。

 

 細かい、ツウ好みの関節可動ではなく、大ざっぱに動けばいい、ということなのかもしれない。おそらく、子供のころ私に染みついた遊び方の中に、「番組の名場面を再現」はないのだ。

 

 ヒーローの決めポーズを再現することなど、私のフィギュア遊びの目的ではないのである。脳内ストーリーに使える、換装できる武器やアタッチメントならまだしも、グーだとかパーだとか、まったく不要なのであった。

 

 いろいろ言いすぎな気もするが、それが、「手首交換系」フィギュアをあまり買わなくなってきた理由である。「手で武器など持てる系」は、これからもできるだけ買います! 

 


よしだせんしゃ

 

マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。近刊に、本連載の単行本『ごめん買っちゃった』。そして、『忍風! 肉とめし2』が発売中!

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