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いま明かされる「ヤフーBB」革命前夜、そのとき孫正義は…

ライフ・マネー 投稿日:2019.03.05 11:00FLASH編集部

いま明かされる「ヤフーBB」革命前夜、そのとき孫正義は…

須田仁之氏


 NTT東西の社長宛に、FAXで宣戦布告

 

 そんな雰囲気のなか、孫氏は周りの「および腰」に戦意喪失することなく、BB事業をダイナミックに前進させていった。トップみずから発案し、即決していく企画案の数々は、度肝をぬくものばかりだった。

 

「『技術不足』という実情をすっとばして、一刻も早く事業として成立させようとされていましたから、企画案はインパクト重視なうえ、ハチャメチャで。孫さんが大量の火事を生んでは、周りが消火する、社内マッチポンプ状態でした。

 

 たとえば、『モデム事件』。現場の実働社員は、手探り状態ながら、通信テストをする意味合いも兼ねて、韓国の安いモデム業者を選定し、トライアルを進めていました。

 

 ところが孫さんは、『テストする』という方針が大嫌いで。『オマエら、韓国のモデム業者とのやりとりはどうなっとるんだ? 本気が伝わってないんじゃないか? ちょっとワシに電話つなげ!』と、ヒトデ型の会議電話で、韓国と電話をつなぎました。

 

 先方につながるやいなや、『おい、100万台発注するから、いますぐモデムを送ってくれ。あしたの飛行機で、100万台送ってくれ!』と。原価が1台数千円だとすると、数十億円にものぼる投資を即決ですよ? 会議参加メンバーは凍りつきました」

 

 ところが事件はそれで終わらなかった。後日、孫氏がまた、唐突にアイデアを思いつく。

 

「孫さんが、『家庭内に必要なモデムを100万台、配らんといかんな。モデムって家でつけるの難しいよな……。おじいさん、おばあさんじゃつけられないし、設置部隊が必要になるな。

 

 ということは100万人の設置部隊を用意しないとな。しかも全国に。あ! パソナの南部(靖之)さんが、人材登録者がたくさんいると言ってたな。やってもらおう』と言い出されまして。

 

 それでまたヒトデ電話を使って、南部社長に電話されました。『南部ちゃん、いい事業があるんだよ。相談したいので、あした来てくれないかな』って。

 

 当時のパソナ社がおこなっていたのは、一般企業に女性の事務職を派遣するビジネスでしたから、電気工事ができる人材が豊富なわけではありません。でも孫さんは、『パソナレディにヤフーBBのTシャツを着てもらって、『ヤフーレディがお宅を訪問します』でいいじゃないか』と……(苦笑)。

 

 翌日、南部社長はいらっしゃいませんでしたが、COO(最高執行責任者)の役員ふくめ、パソナ社の新規事業担当の精鋭8人がご来社されました。その日から、パソナ社もBB事業の “人柱” に加わり、まったく経験のない『個人宅へのモデム設置業務』をおこなうことになったんです」

 

 パソナ社のみならず、ビジネスパートナーの選定については、会議中にあらゆる業者にヒトデ電話をつないで、「大至急、あした来てください」と本社に呼びつけていた孫氏。こうしたダイレクト交渉は、インフラの大元まで飛び火した。

 

「そもそもADSL通信事業は、NTTに集中していた『通信事業』を、民間にも広げて競争を促すという国の政策があり、NTTさんの設備を借りておこなう事業でした。ですから、何をおこなうにもNTTさんに相談し、書類申請しなければならなかったのです。

 

 国営の電電公社だった体質もあってか、NTTさんの対応スピードは遅々としていました。まあ、その頃のソフトバンクが『スピード違反』だったという説もありますが(笑)。でも孫さんは、非常に苛立っていらっしゃいました。

 

 あるとき、ついに堪忍袋の緒が切れた孫さんが、『こっちは本気でやろうとしてるんだ! NTTさんは全然わかってないんじゃないか? おい、今からNTT東日本とNTT西日本の社長宛にFAXを送るぞ! 「大至急、設備の貸出し手続きを始めろ」と文面を作れ!』と。

 

 それで僕が『孫正義』名義の文書を作って、代表印を押して “宣戦布告” のFAXを送りました。そうしたら、NTTの現場の方からじゃんじゃん電話が入ってきまして……。『ひとりコールセンター』状態でした。

 

 仕方がないから、『はじめまして。すみません、孫に送れと言われまして。改めてご挨拶に伺います』とお伝えし、後日現場数人でNTT社を訪問して深謝しましたよ」

 

 サービス開始の見通しがついてからも、火事は続いた。テストとしてグループ社員向けにサービスをおこなっていたときに、安物の韓国モデムが熱で溶けて急遽業者を変えたり、社員が次々に倒れて入れ替わったり。ついにはソフトバンク担当の、NTT社員まで倒れたという。

 

「生きるか死ぬか、という現場でした。そこには『倒れる人』と『倒れない人』という差しかありません。戦場では、仲間が倒れることを気にしてたら、自分も殺られます」

 

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