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風邪に抗生物質ほか「こんな薬は飲むだけムダ」12大リスト

ライフ・マネー 投稿日:2019.04.08 06:00FLASH編集部

風邪に抗生物質ほか「こんな薬は飲むだけムダ」12大リスト

 

 世界中でいま、「ムダな医療」を見直す動きが広がっている。発端となったのが、2011年にアメリカの医学会で始まった「チュージング・ワイズリー(賢い選択)」運動だ。

 

 本誌は、この運動を初めて日本に紹介した医療経済ジャーナリストの室井一辰氏の協力を得て、「チュージング・ワイズリー」の最新情報を加えた「ムダな医療リスト」を作成した。

 

 

「チュージング・ワイズリー」運動はカナダや北欧、豪州などにも広がり、2016年10月には、日本支部も発足した。日本には、日本特有の「ムダ」がある。チュージング・ワイズリー・ジャパン代表の小泉俊三医師が実例を挙げる。

 

「たとえば、風邪抗生物質(抗菌)を使う問題です。風邪の大半はウイルス性なので、細菌を殺す抗菌薬を使う意味はありません。それ以上に、抗菌薬を濫用することで、細菌性の病気にかかったときに効き目が弱くなってしまう耐性菌の問題があります」

 

 では「ムダな医療」を防ぐにはどうすればいいのか。小泉医師はこう続ける。

 

「我々は、リストに挙がっている医療を、状況にかかわらず、すべて否定しているわけではありません。

 

 患者に対してどういう医療が適切なのか。その判断は、医師と患者双方の対話によるものでなければならない。そのための材料を提供しているのです」

 

 以下に「飲むだけムダの薬剤」をまとめた。少しでも疑問に感じていることがあれば、臆せず医師に聞いたほうがいい。このリストが心強い、「武器」になるはずだ。

 


【「こんな薬は飲むだけムダ」12大リスト】

 

(1)「風邪に抗菌薬や抗生物質は不要」(米国小児科学会)
 細菌とウイルスは、別の微生物である。風邪のほとんどはウイルス感染症であり、細菌に効く抗菌薬を処方しても効果がない

 

(2)「中耳炎や外耳炎で、抗菌薬を飲むな」(米国耳鼻咽喉科学会)
 口から飲む抗菌薬を避けることで、耐性菌の発生も回避しやすくなり、体力や免疫力が落ちたときにかかる「日和見感染症」を防ぐことにもなる

 

(3)「頭痛に市販薬を長々と使わない」(米国頭痛学会)
 市販薬は、短期間の使用であれば頭痛に効果があるが、長期間あるいは頻繁に使うのは推奨できない。市販薬の使用は、週2回にとどめるのが重要

 

(4)「ストレス性胃潰瘍の予防で投薬しない」(米国病院医学会)
「消化器合併症」のリスクがないなら、「ストレス性胃潰瘍」の予防のための投薬は、おこなうべきではない。胃潰瘍がないのに胃酸を抑える薬を予防的に使えば、副作用の心配も

 

(5)「爪水虫に飲み薬の処方は、ほとんど不要」(米国皮膚科学会)
 一般的に「爪水虫」と呼ばれる「爪白癬」の疾患は、飲み薬で治すのが一般的だが、真菌感染が確認されない限り、飲み薬を処方してはならない

 

(6)「超高齢者に、悪玉コレステロールを下げる薬は無用」(米国医療ディレクターズ協会)
 安易に「LDL(悪玉)コレステロール」を下げる薬を処方してはならない。余命が限られた高齢者では、「LDLコレステロール値が低いほうが死亡率は高い」という臨床研究も

 

(7)「心臓病やガンの予防のために、マルチビタミン、ビタミンE、βカロチンを摂らない」(米国予防医学会)
 ビタミンなどのサプリメントには、ガン予防の効果はない。むしろβカロチンは、肺ガンのリスクを高めることが、最近わかってきた

 

(8)「サプリメントは健康維持に効果なし」(米国医学毒性学会)
 サプリメントを服用すると、効果のある治療の機会を失ったり、薬剤の効果を抑制したりする可能性があり、間接的な有害性が生じる恐れがある

 

(9)「変形性膝関節症に。グルコサミンやコンドロイチンは効果なし」(米国整形外科学会)
「グルコサミン」や「コンドロイチン」は健康食品。症状を緩和させるエビデンスはない。日本ではさかんに宣伝されているが、アメリカでは学会が使用禁止と断言している

 

(10)「抗精神病薬は安易に処方しない」(米国精神医学会)
 初期の適応症を検証し、継続的に副作用をモニタリングしない限り、抗精神薬を処方してはならないと厳しく制限。メタボリック症候群などの副作用も

 

(11)「抗精神病薬は2種類以上併用しない」(米国精神医学会)
 抗精神病薬の処方では、副作用の問題が重要だが、2種類以上、使う患者も多い。しかし、多剤併用の効果や安全性について検証した臨床研究は限られている

 

(12)「5つ以上の医薬品を使用している患者には、それ以上薬を処方しない」(米国医療薬剤師会)
「ポリファーマシー(多剤併用)」が問題になっている。どの薬を飲んだかわからなくなり、正しい飲み方ができなくなるので、薬はむやみに増やさないほうがいい

 


モデル・ミスFLASH2019 阿南萌花

 

(週刊FLASH 2019年4月2日号)

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