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【食堂のおばちゃんの人生相談】51歳・自営業のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.04.26 11:00 最終更新日:2019.04.26 11:00

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える! 

 

【お悩み/ジゲンさん(51)自営業】

 

 かつては実家に戻るたびに、料理自慢の母は、ご馳走を用意してくれました。しかし最近は寄る年波か、「途中で何か買ってきて」に……。昔、母が作ってくれた普通のカレーが食べたいのですが、もう無理なのでしょうか?

 

 


【山口先生のお答え】

 

 ああ、身につまされます! うちの母も昔は料理が上手だったんですよ。2日間掛けて作るビーフシチューの味は、今も忘れられません。

 

 母が段々料理が出来なくなったのは、やはり父が亡くなってからです。当時、母は72歳でしたが、急激に老い衰えて、3年後にはまったくの別人…………私を守ってくれる人から、私が守ってあげないとダメな人になってしまいました。

 

 あの頃、豚の角煮を作るのに間違えてモモ肉の塊を買ってきて「どうすんのよ?」と言ったら「油入れちゃえば大丈夫でしょ」と、ラードを鍋に入れようとしたので、私は背筋が凍り付きそうでした。飽きるほど作った料理のレシピを忘れるなんて。『愛のエプロン』でもやらないレベルの無茶をするなんて。

 

 そして母は、甘いものが大好きでした。シュークリームなら一度に2個でも3個でも食べられたのに、今はそれさえ口に入りません。

 

 ジゲンさん、お母さんが元気で御飯が食べられるだけで、よしとしましょうよ。年を取るとこれまで出来たことが出来なくなるんです。私だって10年前に出来たことはもう出来ません。老いるとはそういうことなんです。

 

 だからジゲンさん、ご実家に帰ったらお母さんと楽しい時間を過ごして下さいね。


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、最新刊『夜の塩』が発売中

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