●ポイント3:葬儀、お墓などの希望を確認しておく
老親に相続について確認する際に、葬儀の話は、どうしてもしづらいもの。そういうときは、遺言書の前段階として、「エンディングノートを活用するといい」と木野弁護士は言う。
「幼いころの思い出などは書きやすいので、一緒に話をしながら記入していくといいようです。いまは、葬儀のやり方や埋葬の仕方も十人十色。親がどうしたいかの希望を聞いておくことで、葬儀もスムーズに進めることができます」
なお、最近は墓じまいをして、ロッカー型の墓に移す人も増えている。
「墓じまいで、多額の費用を請求されたという話も聞きます。お墓をどうするのか、管理費は誰が払うのかなども決めておくと、相続時に揉めないですみます」
●ポイント4:「お金のルール」を決める!
親が介護施設に入所することで生活が変わり、子供が親の通帳を管理し始める−−。実際の相続問題では、これがきっかけで揉めるパターンが多いという。
「親が亡くなった後に通帳の履歴を確認したら、数十万円単位で引き出されていたり、亡くなる1年前は1000万円あった貯金が500万円になっていたり……。
親の入院費や施設の入所金を払ったり、必要な費用だったにもかかわらず、事情を知らない兄弟が、『お金を管理していた兄が横領した』と、『不当利得品返還請求訴訟』を起こす相談が多いんです。
そうならないためにも、領収書や必要経費のレシートは保管しておく。または、親に一筆書いておいてもらう。お金を誰が管理して、どう使うか、ルールを決めておくことが重要です」
さらに、木野弁護士が最近、特に気になるのが、親の身柄を兄弟で取り合うことだという。
「親と一緒に住んでいるほうが、相続で有利だと考えているんだと思います。同居したら、ほかの兄弟と連絡を取らせないとか、施設に入居させて、ほかの兄弟と面会させないという相談が頻発している。
もっとすごい例がありました。父と同居している姉が、『妹が父のもとに来て、ヒソヒソ話をしているのは怪しい。遺産相続の話をしているに違いない』と疑いだし、部屋に盗聴器を仕掛けた。
知らないはずの会話を姉が知っていたことで、妹も姉を疑い、盗聴器を仕掛けた。姉妹で盗聴し合うんですから、想像を超えています。親が亡くなる前からバトルが始まっているなんて、寂しい限りです。
話題になった『後妻業』もあります。法定相続人と、内縁の妻と名乗る女性が揉めるケースも増えています。独身男性は要注意です」(同前)
恐ろしきは「相続」で「争族」になってしまうこと。親が元気なうちに予防線を張りたい。
(週刊FLASH 2019年5月7・14・21日合併号)