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【食堂のおばちゃんの人生相談】53歳・金融業のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.05.13 11:00 最終更新日:2019.05.13 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/ジョーさん(53)金融業】
アダルトDVDショップで、1枚100円で中古DVDを投げ売りしていて、1万円分ほど衝動買いした。それ以来、その手の店を見かけると、中古DVDを大量に買い込んでしまう。観る時間もないのに、大量買いがやめられない。治すことは可能でしょうか?
【山口先生のお答え】
これは治すというより、治るのではないかと思います。普通、人間には「食傷」という感情があって、思いっきり堪能、耽溺して時間が経つと、「もういいや」という気持ちが湧いてくるのですね。食べ物でも、恋愛でも、セックスでも、蒐集でも。
いくら時間と情熱を費やしても、一向に感情が飽和状態に達しない(満足感を得られない)人は、精神科に相談した方が良いかも知れません。
所謂ゴミ屋敷の住人のような人を、アメリカでは “ホーダー” と呼び、物を捨てられずにひたすら蒐集する行為を “ホーディング” といいます。
ジョーさんのお便りを読む限り、まだその域には達していませんね。ある程度買い集めれば、憑き物が落ちたようにやめる可能性あり、です。
例えば、自分でリミットを設定したら如何でしょう? DVDラックのこの列がふさがったら、買うのをやめて鑑賞を始める、とか。
実はうちの長兄もかなりのCD(クラシックが多い)を買い集めていて、私が必死でラックを組み立てたのですが、実にアホらしいことに、現在我が家にはそれを聴く装置がないんですよ。絵に描いた餅じゃなくて、オブジェと化したCD! ったく、クソの役にも屁の足しにも…………。
というわけでジョーさん、気の済むまでDVDを買って下さい。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、最新刊『夜の塩』が発売中