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【食堂のおばちゃんの人生相談】40歳・SEのお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.06.03 11:00 最終更新日:2019.06.03 11:00

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/いずるさん(40)SE】

 

 今年、同じ部署に会長の孫娘(新卒)が配属されました。このコが異常に仕事が遅く、ほかの者が尻ぬぐいをさせられているのですが、上司をはじめ、だれも注意や指導をできる雰囲気ではありません。IT系の専門職で、ほかの部署に異動させることもできません。私はこれから、彼女とどう接していけばいいのでしょう。

 

 

【山口先生のお答え】

 

 あらら、会長一族の横暴とは、困りましたよねえ。

 

 そもそも、能力のない者を専門職に就かせるのが大間違いなのですが、それ以前に、会長の孫娘ってことは社長令嬢でしょ? 

 

 一昔前なら、社長令嬢が就職するって、あり得なかったですよ。皆さん、女子大を卒業した後はお茶やお花の花嫁修業して、お見合いして結婚してたんです。就職なんかしたら、経歴に傷が付いたもんです。そう、令嬢は深窓なほど価値があったんですよ。

 

 令嬢にもキャリアを付与しないと価値が下がるみたいな、今の風潮が間違ってるんです。

 

 つまり、その女性は、現代のキャリア志向の犠牲者でもあるわけです。50年前なら「働いたことありません」が、セレブの妻の条件として評価されたのに。

 

 というわけで、あなたのお悩みは、彼女と一般の女性社員を同じ土俵に置こうとしているから生じるのです。彼女は迷惑です。そんな羽目になったのは、きっと本人も不本意でしょう。

 

 どうぞ、彼女を哀れんでやって下さい。アホな父親と祖父のために、不相応な職種に就かされて、みんなに嫌われ、蔑まれているのですから。

 

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、最新刊『夜の塩』が発売中

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