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【食堂のおばちゃんの人生相談】45歳・販売員のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.06.21 11:00 最終更新日:2019.06.21 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/のりさん(45)販売員】
両親は田舎暮らしで、海外の話題が出るたびに「外国は犯罪が多くて怖い」と言います。私は東京の大学を出て、外国人の友人もたくさんいるので、帰省するたびに両親の偏見に満ちた発言を聞かされうんざりしています。両親の偏見をなんとか矯正できないでしょうか?
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【山口先生のお答え】
偏見を取り払う? それは厄介な問題ですね。
方法としては、無いこともありません。「百聞は一見に如かず」なので、例えば日本語が堪能で頭脳優秀で性格も優しい外国人留学生をご両親の家に一年くらいホームステイさせるとか、ご両親を外国の、同じような条件の家庭にホームステイさせれば、自ずと考えも改まるでしょう。
ただ、そんなことが本当にご両親の人生に必要なのか、私は大いに疑問です。見たいものだけを見る、聞きたいことだけを聞く、信じたいことだけを信じるというのは、とても幸せなことです。
ご両親はこれからの人生で、仕事でもプライベートでも、外国人と深く関わることは、おそらく無いでしょう。一生付き合わないで済むのなら「外国は犯罪が多くて怖い」「日本は安全で住みやすい」と思っていて、何の支障もありません。
むしろ老いが進み、毎日少しずつ死に近づいているご両親の心の平穏を乱す方が、よほど残酷です。私はのりさんに、ご両親の誤りを正すのではなく、そのまま受け入れて愛して下さるよう、お願いします。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾 会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中