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フジテレビ遠藤龍之介新社長「横歩取り戦法で経営します」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.07.06 06:00 最終更新日:2019.07.06 06:00
「新たなフジテレビのキャッチフレーズは、『おもしろいことのいちばんそばにいる』という意味の言葉にしようと思っています」
こう話すのは、6月26日にフジテレビジョンの新社長兼COOに就任した、遠藤龍之介氏(63)だ。
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「おもしろいというのは、『心が動く』という広範囲な意味。そういうコンテンツを発信していくには、作り手自身がおもしろいもののそばに居続けないといけない。
もっと言えば、作り手自身が『あの人、おもしろいね』とまわりから言われないと、おもしろいものが寄ってこないと思うんですよ」
同社が下降する業績、評判に苦しんできて久しい。だが、2018年3月期から売り上げは回復しつつある。
「この2年、営業利益面でも増益です。『月9』という、うちの看板ドラマ枠が、4クール連続視聴率10%超えと復活の兆しを見せ、情報番組では『めざましテレビ』が横並び1位を奪還するなど、去年の後半ぐらいから徐々にではありますが、視聴率が上げ潮ムードになってきました。
いい時期にバトンを渡していただき、非常に幸せだなと思っています。
あとは、ゴールデンタイムのバラエティで、ヒット番組を増やしていくこと。バラエティのメリットは視聴習慣がつくことですから、そうなると、もっと様子が変わってくると思います」
じつは、遠藤社長の趣味は将棋。日本将棋連盟の非常勤理事でもある。その腕前は「奨励会なら初段ぐらい。アマなら五段か六段」と語るほどの実力者だ。「角落ち」とはいえ、あの佐藤康光九段に勝利したことも。
ご自身を駒にたとえると? と聞くと「金」と即答した。
「銀は攻めの駒ですが、金は守りの駒なんです。金で守りを固めて、じっくりと万全の態勢にしてから、仕掛けていく。私の仕事ぶりではなくて、キャラクター的に金ですね。
私は居飛車党で、得意な囲いは矢倉です。私の最初の師匠は、加藤一二三先生。いま、人気のひふみんです(笑)。加藤先生が矢倉のオーソリティでしたから」
性格的には「守りの金」と答えた遠藤社長だが、経営となると異なるようだ。
「我が社をどんな駒組、戦法で経営していくかですか? そうですね……。テレビを取り巻く環境は、ものすごく変化が速くなってきていて、それに対応していかないと、まずいという状況です。
将棋には『急戦』と『持久戦』というものがあります。急戦のなかでも、一手の価値がものすごく高くて、スピード感がある勝負は、『横歩取り』という戦法です。これからは、スピードのある変化に対応しないといけませんから、横歩取りのようにやっていかなくては、という感じですね。
うちの会社には、本当に優秀な飛車も角もいます。これから、そういう才能を最大限に生かせる環境を作って、勝つ将棋を指していきたいです」
横歩取り戦法は、大駒交換がなされるなど、激しい戦いになる可能性も高いが、培ってきた「勝負勘」で乗り切っていくことだろう。