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【食堂のおばちゃんの人生相談】41歳・自営業のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.08.02 11:00 最終更新日:2019.08.02 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/えんぞうさん(41)自営業】
暑いこの時期、2、3年前から、3歳年上の妻の脇汗が妙に、におうようになった。女性にも “加齢臭” があるのだろうか。直接「におうよ」と言うのも憚られて。
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【山口先生のお答え】
それはまあ、えんぞうさんも気苦労ですね。微妙な問題ですから。多分、女性にも “加齢臭” はあるのだと思います。
昔、山口瞳のエッセイに、混浴の温泉に入ったらお婆さんばかりだったという話があって、そこに「お婆さんは臭い」と書いてあり、とても驚きました。私はずっと、臭いのはお爺さんだと思っていたので。
もしかしたらお互い、同性の臭いには鈍感なのかも知れません。ここは一つ、心を鬼にして「実は2、3年前から脇汗の臭いが強くなったように思う」と、正直に仰った方が良いと思います。
何故なら、ご主人が気になるのなら、周囲にも不快に感じている人がいる可能性が大きいからです。でも、誰も口に出して言えません。
これは大きな問題なんですよ。不正なら、人は非難することが出来ます。悪だからです。でも、不快を非難することは出来ません。悪ではないからです。
悪ではないけれど不快。人間関係でこれほど厄介な問題はありません。人が人を嫌う理由は、悪より不快の方が多いのです。
悪い人ではないけれど、ものすごい腋臭や口臭のある人を、人はどうしても敬遠しがちです。
でも、本人はそれに気付いていない場合が多かったりします。こんな気の毒なことがあるでしょうか。奥さんのために、是非知らせるべきです。対策はあるのですから。
ご自身で言いにくいなら、このコラムを奥さんに読ませて下さい。奥さん、怒らないで下さいね。あなたが円満な人間関係を継続できるように、ご主人は勇気を出して声を上げてくれたんですよ。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中