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ブームの火付け役がサウナの醍醐味「ととのう」の真髄を語る

ライフ・マネー 投稿日:2019.08.09 16:00FLASH編集部

ブームの火付け役がサウナの醍醐味「ととのう」の真髄を語る

 

 ここ数年、「サウナ」がブームだ。いまや客層はおっさん層だけではなく、若者や女性たちが、「サウナー」(サウナ愛好家)として、全国のサウナ施設に足繁く通っている。

 

 ブームの火付け役は、マンガ家のタナカカツキ氏。現在、放送中のドラマ『サ道』(原田泰造主演・テレビ東京ほか)の原作者であり、自身も熱心なヘビーサウナーだ。

 

 

 日本サウナ・スパ協会公認のサウナ大使としても活躍するタナカ氏に、なぜいまサウナ熱が高まっているのか、聞いてみた。

 

 タナカ氏が、サウナエッセイ『サ道』を上梓したのが2011年。当時すでに、「サウナブーム」は巻き起こっていたという。

 

「そもそも『サ道』が2011年に出版されたのは、ブームが盛り上がっていたから企画が通ったんです。以来、毎年『サウナブームだよね』と言われている(笑)。

 

 今年は、『サ道』がドラマ化されたので、余計目立っているように思われますが、サウナ好きの間では、もっと前からブームは来ているんです。

 

 ドラマ化の話も、実は2012年ころにいただいたことがあって。結局、そのときは実現しませんでしたが、今回、テレビ東京のプロデューサーさんとお知り合いだったこともあり、ドラマ化の運びとなりました。

 

 キャストもスタッフも、名うてのサウナーが揃っており、実に嬉しく思います」

 

 今年のブームは、サウナビギナーにも嬉しいタイミングだ。

 

「これまでは、もともとサウナに通っている人向けの局所的ブームだったと思います。2012年ころに、SNSで日本各地のサウナーたちがつながったんです。そのおかげで、サウナー同士の交流が盛り上がりまして、情報を発信・交換できるようになった。

 

 サウナ界では、2012年は『サウナ元年』と言われています。

 

 次いで施設側も、SNSを通じて、利用者の声を吸い上げるようになってきて。サウナ室がフィンランド式に変わったり、水風呂の温度が下がったりするなど、変化していった。湿度調節のプロ “熱波師” が登場し、サウナ検索サイトができて……。

 

 そこで今年のブームです。これまでサウナに関心がなかった人にも、サウナの情報が届く、一般にサウナの情報が “降りてくる” ようになったのが、今年のブームの特色なのではないでしょうか」

 

 サウナの伝道師として知られるタナカ氏が、サウナ大使に任命されたのは2013年のことだ。

 

「任命後は、日本のサウナ大使として、国際サウナ会議に参加するようになりました。会議に参加させていただいて、サウナは世界的ブームだとわかりましたし、海外から日本を見る機会を持てたことで、日本のサウナがどれだけ特殊かもよくわかりました。

 

 海外では、どの国も『自分たちのサウナ文化こそ主流』と思ってるんですよ。フィンランドはもちろん、スウェーデンもドイツも、サウナの本場は自国だと思ってますから。

 

 でも、日本では、『本場は日本』ではなくフィンランドと言う。日本人は海外のサウナ文化をリスペクトする気持ちが強くて、フィンランド式、ドイツ式、ロシア式……なんでも取り入れています。これはある意味、日本ならではですね」

 

『サ道』の作中でたびたび登場するのが、「ととのう」という言葉。「サウナ室→水風呂→休憩」を数セット繰り返した後に訪れる、特有の気持ちよさを表現する一言だ。

 

「サウナ、すなわち蒸気浴の醍醐味って、『クールダウン』なんですよ。サウナ室はクールダウンするためにいったん入るぐらいのもの。

 

 サウナという言葉で、サウナ室をイメージするのは日本人だけです。他の国では、サウナという言葉から、『ととのった』後のあの清々しい感じを想起するはず。サウナとサウナ室は、あくまで別の言葉なんですね。アメリカでは、『ととのう』という状態を『サウナマジック』と呼んでいます。

 

 面白いことに、日本語の『ととのう』が、最近フィンランドで普及し始めてるんですよ。フィンランドの国営放送が日本に取材に来て紹介して以来、『カラオケ』『カワイイ』みたいな感じで『トトノウ』が広まっているそうです」

 

 サウナに通い始めて約10年。「基本的に毎日足を運ぶ」なかで、タナカ氏はある変化を感じるようになったという。

 

「ライフスタイルが完全に変わりましたね。サウナの気持ちよさを知ってしまうと、常に『ととのっている』状態でいたいな、サウナに行かないときも快適に過ごしたいなという意識になり、自然と朝型生活にたどり着きました。

 

 最近は、朝4時に起きて、昼の12時までが仕事の時間。起きてすぐが一番、パフォーマンス能力が高いんです。午後からはサウナに行きます。『休むこと』を第一に行動すると、だらだら働くことなく、めっちゃ働けます。

 

 午後のサウナでは打ち合わせもしますし、友との語らいの時間もあり。ととのった後は、マンガのアイデアが出てきやすいので、アイデアをメモって、落ち着いて、寝ちゃったりして。よけい家で寝られなくなるんだけど(笑)。

 

 サウナに通いだして5、6年めくらいから、体質の変化も感じるようになりました。前は、ずっと夜型で仕事をしていて。集中して楽しくやっていたつもりだけど、デスクワークなので血行は滞ってますよね。

 

 そのときは、目の疲れ、肩のこりが日常化していた。自律神経もムチャクチャ乱れていたと思います。皮膚疾患や鼻炎とかもすごかったし、夜もなかなか寝つけなかったんです。

 

 いま思えば、それらは血が滞ることで現れていた体のアナウンスなんですね。そういうのがサウナに通い出してからよくなりました。風邪もいつからか、まったくひいていません。

 

 サウナに入った後の心地よさを目標にして、常時ちょうどよくととのっている状態になるように生活をしています。サウナに行かなくてもよい体になるのが目標です」

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