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サウナの母国「フィンランド」には水風呂がないと大使館員

ライフ・マネー 投稿日:2019.08.11 16:00FLASH編集部

サウナの母国「フィンランド」には水風呂がないと大使館員

 

 日本は空前のサウナブーム。7月からは、ネプチューンの原田泰造主演のドラマ『サ道』(テレビ東京ほか)が始まった。原田もまた、「フィンランドサウナアンバサダー」をつとめるほどの「サウナー(サウナ愛好家)」だという。

 

「サウナ」はフィンランド語。フィンランド大使館のマルクス・コッコ報道・文化担当参事官に「本場フィンランドのサウナ」について聞いてみた。

 

 

「フィンランドの文化を語るうえでサウナは欠かせません。サウナはフィンランド人にとって非常に “深い” もので、アイデンティティのひとつであり、ライフスタイルの一部でもあります。リラックスする場所であると同時に、人々と交流できる、自由で平等な場所なんです」

 

 人類最初のサウナは、青銅器時代(紀元前1500年~500年)に建てられたと言われる。フィンランドでは、サウナにはサウナ・トントゥという妖精が住んでいると言われ、神聖な場所でもあった。

 

「赤ちゃんを出産する場所でもありました。実際、私の父は1930年代にサウナで生まれています。さすがにいまは、サウナ・トントゥが住んでいるとは言われませんが(笑)、いまでも、人々が瞑想する、過去を振り返る場所として、神聖な場所でもあります」

 

 自然と一体化したもの。それが本場フィンランドサウナの醍醐味だ。

 

「特別に水風呂というものはありません。フィンランドには湖が約19万個あり、湖畔の夏小屋にサウナを作るのが一般的です。サウナのあとは湖や海に飛び込む。夏であれば湖の水温は15度前後。

 

 冬でも、凍った湖に穴を開け入ることもあります。水温は4度前後ですが、それはそれで気持ちよい。冬であれば、サウナから出て、庭に積もっている雪に転がることもあります。

 

 サウナのあと、湖や雪に飛び込んでクールダウンすることを何度も繰り返すことで、とてもリラックスした、心身の調和がとれた感覚を味わうことができます」

 

 日本は90~100度のドライサウナが一般的。本場フィンランドは意外に室温が低い。

 

「一般的なサウナは70~80度。サウナのなかにあるロウリュ(熱された石に水をかけ、蒸気を発生させる)で湿度を調節します。

 

 それから、白樺の枝を束ねて作ったヴィヒタで身体を叩いて血液の循環を良くします。ヴィヒタの旬は6月。だから、フィンランドで最高のサウナは、自然のなかにあって、薪で火をたくスモークサウナで、新鮮なヴィヒタがあり、湖畔や海沿いにある。これが最高のサウナです」

 

 サウナは生活の一部。日本のサウナをいろいろ経験したが、驚くことばかりという。

 

「まず、ロウリュを設置しているところが少ない。2つめは、テレビがあること(笑)。フィンランドでは音楽もなく、まったくの静寂。あるいは、会話があるぐらいです。

 

 3つめは、日本には時計があって、サウナに入る規則が書いてあること。フィンランドでは時間をはかることも、ルールもありません。リラックスして、自分の身体の声に耳を傾け、自分が心地よいと思う時間だけ入ればいい。

 

 最近は、ブームのおかげか、日本でもロウリュを設置するサウナが増えてきているのはうれしいですね。

 

 日本でいえば、長野県小海町にある『フィンランド村』のサウナはおすすめです。フィンランド? 首都ヘルシンキでは、中心部にあるサウナ店『ロウリュ』がいちばんおすすめです。

 

 サウナ後はバルト海に飛び込めます。2016年にできたばかりですが、レストランもあり、観光地になっています。いつかは本場フィンランドのサウナに入っていただきたいですね」

 

(写真)ペトリ・アシカイネン/駐日フィンランド大使館

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