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【食堂のおばちゃんの人生相談】57歳・高校教師のお悩み
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/匿名希望(57)高校教師】
先日、20年前に教えていた学校の同窓会に招かれた。そこで演劇部の顧問をしていたときの教え子に、「相談に乗ってほしい」と頼まれ、後日昼間に会ったら「夫は仕事が長続きせず、子育てにも非協力的で、心は完全に離れている。夫の実家が裕福なので経済的には困らないが、愛のない生活が空しくて堪らない」と。
そして、「昔から私を好きだった」と告白され、成り行きでホテルに行ってしまった。私は浮気は初めてです。こんな関係を続けてはいけないのはわかっていますが、どうしたら?
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【山口先生のお答え】
おやまあ、なんてラッキーな方。あなたのお悩みに、羨ましくてヨダレを垂らしている読者が大勢いらっしゃると思いますよ。別に悩むことはありません。彼女が満足して、あなたもそれなりに良い思いをしたのなら、それで良いじゃありませんか。
不倫というのは、お互いの距離感が一致していれば、配偶者にバレない限り、誰も傷つきません。二人でちょっぴり良い思いをして、味気ない日常が少しでも楽しくなれば、めでたいことです。
大切なのは秘密厳守とお互いの距離感です。一方が浮気と割り切っているのに、一方が相手にのめり込んで配偶者と別れて結婚したいなんて望んだら、これはもう悲劇の始まり、地獄の修羅場です。
幸い、あなたは彼女に今以上接近する、つまり不倫相手以上の存在になるおつもりはないようですし、彼女も「夫の実家が裕福なので経済的には困らない」と言っている以上、離婚する気はサラサラないようです。空しい結婚生活に不倫で華を添えたいのですね。
もしあなたが彼女を憎からず思っているのなら、このまま適当な距離を保って不倫を続けるのも、決して悪くないと思いますよ。その代わり、肝に銘じて下さい。あなたはかつては演劇部の顧問、今は不倫部の顧問なのだと。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中