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同じお菓子なのに税率が混在…軽減税率で駄菓子屋が泣いている
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.02 15:44 最終更新日:2019.10.02 16:09
「知ってますか、ビックリマンチョコは税率8%なのに、プロ野球チップスは税率10%なんですよ。違いが分かりにくいですがこれが今回の税制です」とチーリン製菓の副社長・福井憲治さんが言う。
10月1日、消費税が10%に引き上げられ、軽減税率が導入された。だが、この新制度がお菓子業界で大きな混乱を呼んでいる。
食料品は、基本的に軽減税率の対象で、税率は8%。しかし、子供向けに「おまけ」を付けることがある駄菓子の場合、「ただのお菓子」に見なされないと、税率が10%になってしまう場合があるというのだ。
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「食品と食品以外のもの(おまけ)を1つの商品として販売する場合、『一体資産』として軽減税率が適用されなくなるんです。具体的には、税抜き価格が1万円より高かったり、“食品”の占める割合が価格の3分の2未満の場合です」(福井さん)
そのため、チョコが価格の3分の2以上あるビックリマンチョコは税率8%となるが、ポテトチップスが価格の3分の2に満たないプロ野球チップスは税率10%になるのだという。
「駄菓子メーカーとしては、非常に悩ましい判断を迫られました」と福井さんは語る。
プチラムネやコンパスチョコなどを製造販売する同社の場合、容器が笛として使えるプチシリーズ(プチラムネ、プチガムなど)は、笛として二次利用できるため資産にあたるという理由で、軽減税率は適用されない。
「プチラムネが売り場から外されたので、苦肉の策として、笛部分を表示シールで覆った新商品『ゴーゴーラムネ』を作りました。笛として二次利用できなくすればいいのではという発想で、1カ月ほどの突貫工事で作りました」(福井さん)
他にも、容器がペンとして使えるカラーペンチョコや、方位磁石がついたコンパスチョコも、二次利用できるため、資産扱い。
「カラーペンチョコは税率10%ですが、容器がステッキの形をしたステッキチョコは、二次利用できないため資産扱いせず、税率は8%となります」(福井さん)
実質は同じ駄菓子なのに、税率は異なってしまうのだ。
「駄菓子は子供に楽しんでもらうための商品なのに、税金分が値上がりしては申し訳ない。私どもとしては、いかに子供を喜ばせようか考え、おもしろい容器を考案したり、占い付きの駄菓子を作ったり工夫してきたんです。子供たちが、少ないお小遣いで買ってくれることを思うと、全部8%のままにしておきたいのが本音ですよ」
軽減税率が適応できるかどうかは、最終的にメーカーが判断することになっている。しかし、ボーダーラインはあいまいだ。そして、混乱を理由に、税率10%になる駄菓子の入荷をストップしてしまう小売店もあるという。
福井さんは呆れたようにこう話す。
「単なるデザイン容器だけではなく、笛などの遊びの要素を加えた商品を希望する声もあちこちから聞きます。今後政府からなんらかの改正案が出ればいいのですが……」
混迷を極める軽減税率。導入は、はたして正しかったのだろうか。