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ラグビー部員の就活、意外にも「引く手あまた」の時代は終焉
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.07 17:12 最終更新日:2019.10.07 17:12
10月5日、ラグビーワールドカップで、日本はサモアに38対19で勝利した。日本は勝ち点5を獲得し、これで合計勝ち点14。史上初の決勝トーナメント進出に大きく近づいた。
サモア戦の最高視聴率は46.1%で、にわかファンも含め、ラグビー人気が復活した形だ。いまはサッカーに後塵を拝しているが、Jリーグ発足前、ラグビーは花形スポーツの代表だった。
1980年代、旧国立競技場を6万人以上のファンで埋めつくしたラグビー。日本選手権は1月15日の成人の日に開催されるのが通例で、試合に駆けつけた多くの女性ファンが黄色い声で声援を送っていた。
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もちろん、就職でも引く手あまた。かつては就職面接で「ラグビー部です」と言えば、どの会社でも無条件に欲しがった。人事ジャーナリストの溝上憲文氏がこう話す。
「上下関係に忠実なことや打たれ強いことは、昔も今も彼らの武器です。上級生の命令は絶対という不条理な世界を生き抜いてきたラグビー部の学生は、不条理だらけの会社で働くための耐性が整っている。
それもあって、名だたる経営者のなかに、大学ラグビー部出身という方は多いんです。ゴールドマン・サックス日本法人の代表取締役・持田昌典さんや、TBSHD社長の佐々木卓さん。ファーストリテイリングやローソンの社長をされた玉塚元一さんもラグビー部出身です。こうしたOB人脈も就職では有利となります」
だが、ラグビー人気復活で、ラグビー部員の就活も万全なのかといえば、どうもそうではないらしい。「就活におけるラグビー部の人気は、10年前と比べるとやや落ちてきているんです」と溝上氏。いったいどういうことか。
「実は、彼らの “武器” が、時に仇になるケースもあるんです。20代はがむしゃらに頑張っても、上司の言うことを聞いているだけで、いつしか伸びしろがなくなってしまったという話を人事の方から聞いたことがあります。その方は、積もり積もった過労がたたり、ついに30代で体を壊してしまったそうです」
それだけではない。IT技術が進むにつれ、求められる人材も移り変わってきたという。
「これまでは、あちこち足を使って戸別訪問する日系不動産と体育会系の相性はよかったんです。でも、今は物件情報をウェブ広告でいかに流すか考えなければいけない時代。こうした新しいノウハウを柔軟に取り入れられる人材のほうが求められる傾向が強いんです」(溝上氏)
ラグビー部に限らず、昔から体育会系は就職のよさで知られていた。しかし、時代の変化で、必ずしも昔ほどの高評価は得ていないようだ。