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【食堂のおばちゃんの人生相談】45歳・食堂経営者のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.21 11:00 最終更新日:2019.10.21 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/食堂のおじちゃんさん(45)食堂経営】
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中学の同窓会で「ご飯の最高のおかずは何か」で激論した。明太子・納豆・卵・海苔・梅干し……さまざまな意見が出るなかで、最終的にちりめん山椒に支持が集まった。この結果、納得がいきますか?
【山口先生のお答え】
いいえ、絶対に納得できません! 私は常々、ご飯とおかずの関係は「ご飯を美味しくするおかず」と「おかずを美味しくするご飯」の二つがあると考えています。ちりめん山椒は後者だと思うのです。
一つの舟に二人の船頭が要らないように、一つの舞台に二人の主役は要りません。主役はあくまで一人、この場合はご飯です。おかずはご飯を引き立たせる脇役に徹するべきなのです。
ズバリ申し上げますが、ご飯の名脇役となる資格を持つのは、植物性のおかずだと思います。動物性のおかずは、それ自体にスター性があるため、ご飯のストレートな美味しさを邪魔すると思うのです。
チャーハンを考えて下さい。ご飯とおかずが渾然一体となって世界を作り、ご飯そのものの美味しさは背景に退いています。生姜焼きとご飯の関係は典型的な「おかずを美味しくするご飯」でしょう。
ご飯はそれ自体が非常に美味な食べ物です。炊きたての銀シャリがあれば余計なおかずは要りません。海苔・梅干し・納豆・漬け物など、植物性のおかずはご飯の美味しさを邪魔しない名脇役です。言い換えれば、ご飯が美味しくないと植物性のおかずはみじめです。
ちなみに私の一番大好きなご飯のおかずは、醤油(&海苔)です。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中