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成功者の自伝には「努力」より「運の良さ」を語る言葉が多い

ライフ・マネー 投稿日:2019.11.01 16:00FLASH編集部

成功者の自伝には「努力」より「運の良さ」を語る言葉が多い

 

 アスリートやプロフェッショナル、競技者や勝負師は、本来、その「技術」や「能力」によって結果を出していく人間であるが、一流の世界においては、「技術」や「能力」を超え、やはり「運の強さ」が極めて重要な条件になっていく。

 

 例えば、プロ野球の世界の伝説的な打者、長嶋茂雄は、「記録よりも、記憶に残る男」と評された。実際、打率やホームラン数では長嶋よりも好成績を残している打者は数多くいるが、彼ほど「チャンスに強い」打者はいなかったと言われる。彼は、まさに正念場において「強い運気」を引き寄せる打者だったのであろう。

 

 

 また、プロサッカーの世界で活躍している本田圭佑は、ここ一番の大勝負でゴールを決めることのできる選手であるが、本人も、常に「持っている!」と述べている。それは、言うまでも無く、「自分は、極めて強い運を持っている」という意味に他ならない。

 

 このように、政治家や経営者、アスリートやプロフェッショナルは「運気」の強さが究極の条件であるが、総じて、人生の「成功者」と呼ばれる人々は、例外なく「運が強い」。

 

 そのことを教えてくれる興味深いエピソードがある。ある研究者が、世の中で「成功者」と呼ばれる人々の自叙伝や回想録を調べたのである。

 

 その対象となったのは、政治家や経営者、学者や研究者、芸術家や音楽家、アスリートやプロフェッショナルなど、様々な分野で、文字通り「功成り名遂げた人々」であるが、これらの人々が、その人生を回顧する自叙伝や回想録において、いったい、どのような言葉を最も多く使っているかを調べたのである。

 

 事前の予想では、こうした「成功者」は誰もが、「努力をして」や「粘り強く」、「才能を磨き」や「信念を持って」といった言葉を使うと思われたのだが、実際にこの調査を行ってみると、自叙伝や回想録で最も多く使われていたのは、「偶然」「たまたま」「ふとしたことで」「折よく」「幸運なことに」といった「運の良さ」を語る言葉であった。

 

 このように、世の中で「成功者」と呼ばれる人々は、分野を問わず、職業を問わず、人生と仕事の様々な場面で、無意識に「運気」を感じ、「良い運気」を引き寄せ、その好機を掴む力を持っていたのである。

 

 しかし、こう述べてくると、あなたの心の中には、当然のことながら、一つの問いが浮かんでいるだろう。

 

《では、どうすれば、その「良い運気」と呼ばれるものを引き寄せることができるのか。》

 

 その問いである。

 

 実は、この「運気」というものについて語った書籍や文献は、古今東西、無数にあるが、どれも共通に、人生において「良い運気」を引き寄せるために必ず理解しておかなければならない一つの法則を語っている。

 

 それは、我々の「心の状態」が、その心と共鳴するものを「引き寄せる」という法則である。

 

 これは、昔から、欧米などで「引き寄せの法則」(Law of Attraction)として語られてきたものであるが、日本においても、昔から、「類は友を呼ぶ」「類をもって集まる」という諺が語られ、仏教においても、目の前にある世界は、自分の心が現れたものに他ならないということを意味する「三界唯心所現」という言葉が語られている。

 

 従って、「良い運気」を引き寄せるためには、究極、ただ一つのこと、「ポジティブな想念」を持つことが求められる。すなわち、「ポジティブな想念」=「良い想念」を持つと、「ポジティブな出来事」=「良い出来事」や「良い出会い」を引き寄せ、「良い運気」を引き寄せるのである。

 

 もとより、こう述べても、そうしたことが起こる理由を、現在の科学は説明できないのであるが、多くの人々が体験的に「引き寄せ」と呼ぶべきものを実感しているがゆえに、この「引き寄せの法則」を信じているのであろう。

 

 世の中の「成功者」と呼ばれる人々は、口に出さなくとも、誰もが「自分は運が強い」と思っている。さらに言えば、「自分は運が強い」というポジティブな想念が、無意識の世界に刷り込まれている。


 そして、これらの人々は、必ずしも、その人生において「成功」したから、「自分は運が強い」という想念を抱いているのではない。逆に、「自分は運が強い」という想念を抱いていたから、「成功」を引き寄せたということが、むしろ真実であろう。

 

 これに対して、残念ながら、世の中には、無意識の世界に「自分は、それほど運が強い方ではない……」という自己限定的な想念、ネガティブな想念を抱いている人が少なくないが、実は、その想念そのものが、「良い運気」を遠ざけてしまっているのである。  

 

 では、こうしたネガティブな想念を「自分は運が強い」というポジティブな想念に変えるためには、どうすれば良いのか。そのためには、人生において、何か劇的な「強運の体験」が必要なのだろうか。極限の場面で、「強い運気」を引き寄せた体験が必要なのだろうか。

 

 実は、そうではない。そのためには、やはり、自身の過去の人生を振り返ることである。そして、自分が「幸運」に導かれた体験を思い起こすことである。なぜなら、実は、誰の人生にも「幸運に導かれた体験」がいくつもあるからである。

 

 例えば、あなたは、人生において、次のように思える体験が無いだろうか。

 

「あの人に巡り会ったことで、人生が拓けた」
「あの出来事が起こったことで、道が拓けた」

 

 実際、自身の人生を深く見つめるならば、誰の人生においても、「幸運に導かれた体験」は数多くあるのであり、問題は、それに気がつくか、気がつかないかである。

 

 しかし、ひとたび、そのことに気がつくならば、我々の心の中にある「自分は運に恵まれない」「自分は運が強くない」といったネガティブな想念は、暗闇に光が射すように消えていくだろう。

 

 ※

 

 以上、田坂広志氏の新刊『運気を磨く~心を浄化する三つの技法~』(光文社新書)をもとに再構成しました。最先端量子科学が解き明かす「運気」の本質に迫ります。

 

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