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東芝も参入「血液一滴でガン発見」わずか数分で診断可能
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.01.12 16:00 最終更新日:2020.01.12 16:00
日本人のガン検診の受診率は30~40%程度だという。受けたほうがいいのはわかっているが、大変そうだし、人間ドックだと費用も心配……。ところが今、一瞬で検査できて高精度、費用もわずかですむ最新技術が注目されている。
「血液一滴でガンを発見」
11月25日、東芝が発表した新しいがん検査法は、新聞・テレビで一斉に報じられた。
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「大腸や肺、膵臓など、13種類のガンを99%の精度で判定できます。検査に要する時間は、2時間以内。しかも、血液一滴で検査できるので、体への負担も少なくてすみます」(東芝広報、以下同)
ガンは、もはや治らない病気ではない。生存率を向上させるカギが、早期発見だ。たとえば肺ガンの場合、ステージ2の5年生存率は約60%だが、ステージ0なら97%に上昇する。東芝が目指したのが、なによりも検査の精度の向上だ。
「過去に採取されたガン患者の血液で精度を検証した結果、大きさ1cm未満のステージ1のガンも、99%の精度で判定できました。さらに小さな、ステージ0でも判定できることがわかっています」
ガンに罹ると、ガン細胞から血液中に、さまざまなガン関連物質が分泌される。これをマーカー(目印)と呼ぶが、東芝が着目したのは、「マイクロRNA(リボ核酸)」だ。
「ガン細胞があると、特定のマイクロRNAの血中濃度が上がるのです。濃度が一定の閾値を超えると、ガンに罹っていると判定できます」
2時間以内で終了するという、検査の手順はこうだ。
(1)まず血液を採取する
(2)採取した血液を遠心分離機にかけ、血清化させる
(3)血清からマイクロRNAを抽出する
(4)マイクロRNAに、検査しやすくするために人工の配列を付加する
(5)マイクロRNAチップを、縦横高さが各50cmほどの小型検査機で検査する
しかし、医療機器専業でない東芝がなぜ、ガン検査の技術に力を入れるのか。
「東芝には、電機メーカーとしての技術の蓄積があります。また、バイオテクノロジーの研究も、30年以上の経験があります。東芝だからこそできた技術だと自負しています」
小型検査機は、じつはCDプレーヤーやDVDプレーヤーの仕組みを応用したものなのだという。
検査費用は、2万円以内を想定。2020年から実証実験を開始し、数年以内に実用化される見込みだ。実際に検査を受けられるのは、少し先になる。