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日本人が愛するピアニスト「アルゲリッチとポリーニ」の楽しみ方

ライフ・マネー 投稿日:2020.01.31 20:00FLASH編集部

日本人が愛するピアニスト「アルゲリッチとポリーニ」の楽しみ方

写真はAC

 

 1960年に颯爽と登場した18歳のマウリツィオ・ポリーニは、ショパン・コンクールで、スコアにある楽音をほぼ完璧に演奏し、ぶっちぎりの優勝を果たした。ほらこう弾けばいいんでしょとばかりに。彼の登場は、ショパン・コンクールの優勝者はスコアをきちんと弾けないといけない、というスタンダードを作った。

 

 そう思うまもなく、5年後に優勝した23歳のマルタ・アルゲリッチはスコアをきちんと弾くだけでなく、観客にショパンの音楽からロマンティシズムの匂いを立ち上らせるパフォーマンスをして聴衆を魅了してみせた。「本当はもっと上手に弾けたのに」と言いながら。

 

 

 ポリーニが高くしたハードルを、アルゲリッチは(涼しい顔をして)さらに高くしたのだ。

 

 アルゲリッチとポリーニがショパン・コンクールをきっかけにして大化けしたのと同様に、ショパン・コンクールも「ショパンの楽曲だけで競われるローカルなコンクールのひとつ」ではなく、世界中のピアニストが最も重要と考えるピアノ・コンクールになった。うして、ワルシャワはピアニストの聖地になった──。

 

 日本人が愛好してやまないアルゲリッチとポリーニを楽しむにはどうしたらいいのか。2人の芸術に触れる手段としては、

 

(1)コンサートで生演奏に接する
(2)演奏を収録した動画をTVやDVDなどで視聴する
(3)CDやネット配信などで録音音源を聴く

 

 という3種類がある。

 

(3)の「CDやネット配信などで録音音源を聴く」は、かつて世界中を席巻していたレコードがCDに代わり、今はネット配信が主流になったという流れだ。

 

 ネット配信には好きなアルバムや曲を「ダウンロード」するサービスと、ストリーミングによる「定額聴き放題(サブスクリプション)」サービスがあり、特にスマホ世代を中心に爆発的に広まっているのが「定額聴き放題」サービスである。

 

 これにはクラシック専門の「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」をはじめ、「Apple Music」「Google Play Music」など色々なサービスがあるが、私は比較的クラシックに強い「Amazon Music Unlimited」と「Spotify」を利用している。

 

 両者ともに「定額聴き放題」でアルゲリッチとポリーニのほとんどのアルバムが聴ける(Spotifyには無料で聴けるタイトルもけっこうある)。

 

 ただ音質に関していうと、両者ともストリーミングのビットレート(一定時間に処理できる情報量を示す数字)が最高で320kbps程度。通常のCDが約1440kbps(数字が高い方が高音質)だから、320kbpsくらいだとスマホで聴くには充分な音質というところ。

 

 できるだけ高音質で聴きたい方はCD、もしくはハイレゾ(CDの約6.5倍の情報力を持つ高音質音源)をチョイスしたい。

 

 2019年秋には「Amazon Music HD」というサービスがスタートし、CD音源やハイレゾ音源に相当する「ULTRA HD(Ultra High Definition)音源」を採用して高音質の「聴き放題」サービスを展開している。ついに、ストリーミング配信(聴き放題)でもハイレゾ音源が聴けてしまう時代に突入したのだ。

 

 話をCDに戻す。極めつけはアルゲリッチ、ポリーニともに『ドイツ・グラモフォン録音全集』というCD BOXが発売されている。ともに2万円前後。これらの他にも様々な種類のコンプリートCDが発売されているので、これをどんとお求めになれば主だった録音は聴けてしまう。

 

 また、「名盤」と呼ばれているタイトルの多くにはハイレゾ音源が用意されていて、高音質にこだわるリスナーにも対応してくれている。

 

 もちろん、CD(またはハイレゾ)にこだわることはない。どの再生装置・デバイスでお聴きになってもいいと思う。今はそういう時代なのだ。

 

 以上、本間ひろむ氏の近刊『アルゲリッチとポリーニ ショパン・コンクールが生んだ2人の「怪物」』(光文社新書)をもとに再構成しました。クラシック音楽界の「生きる伝説」2人の知られざる物語。

 

●『アルゲリッチとポリーニ』詳細はこちら

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