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『江戸前の旬』原作者が語る「イカを最高に美味しく食べる方法」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.02.24 16:00 最終更新日:2020.02.24 16:00
マンガ雑誌『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で、1999年から今も連載が続く、“老舗” の寿司漫画『江戸前の旬』。寿司の具である “タネ” のエピソードを中心に、すでに100巻が発売されている。原作者の九十九森先生が、「寿司ウンチク」を存分に語ってくれた。
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「食感を楽しむタネの代表が、イカ。種類で違いますが、歯ざわりがいいのは『スミイカ』です。ちなみに、歯ざわりやねっとり感はあくまで特徴であって、イカ自体の良し悪しを決めるものではありません。
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江戸前では、『アオリイカ』も『剣先イカ』もスミイカも、全部どこかの寿司屋で食べられます。お店と時期によって、出すイカが変わってくるのですが、だいたいのお店は、夏から冬にかけてスミイカを使う。
8月ごろにウマいのは、『新イカ』や『小イカ』と呼ばれる小さいイカ。じつはあれ、スミイカの子どもなんですよ。そして秋口になったら、歯ごたえのある大人のスミイカが美味しい。
あとは、山陰で獲れる『シロイカ』。これは、剣先イカと同じ種類なんですけど、形がちょっと違ってめちゃめちゃ大きいんですよ。ネットリして美味しくて、最近は使うお店もけっこう増えてきましたね」
食感を好みで選ぶのが、イカの楽しみ方だ。
「厚みがあって舌ざわりがニチャニチャしているのは、モンゴウイカというやつで、私はあまり好きじゃないです。だいたい冷凍もので、歯ごたえはあるけど歯切れが悪い。回転寿司などで多く出されます。
甘みが強いのはシロイカ、歯ごたえはスミイカですね。これが食べたいと思ってお店にいくのは、新イカ・小イカ。新イカは、シャキシャキしていて独特なんですよ。大人のスミイカとまったく違う美味しさがあるので、一度試してみてください」
イカには、九十九先生が「ぜひ」とおすすめする食べ方がある。
「個人的に、イカとワサビって合わないと思うんです。甘みが強いイカはいいんですが、そうでないイカはワサビが苦く感じてしまう。スミイカでもアオリイカでも、上物はちゃんと甘いので合うんですが、それほどでもないやつは苦くて……。ただこれは、寿司屋に言っても、あまりわかってくれないんですが(笑)。
それが理由かはわかりませんが、北海道の函館あたりでは、イカを七味や大根おろしで食べるんですよ。函館に行ったときに、イカの刺身を頼んだら大根おろしがついてきて、はじめは『なんだコレ?』と思ったのですが、それがふつうなんですって。ワサビは使わないし、ショウガもあまり使いません。
辛味大根のおろしで、イカの刺し身を食べてみてください。めちゃめちゃウマいですから(笑)。お店に行って『新鮮なイカが入った』と聞いたら、『大根おろしください』と言ってみるのがいいですね。
東京で頼むと、知らないから『えっ?』って言われますが、そっちのほうが絶対ウマい。だから漫画でも書いて、布教しています(笑)」
つくもしん
青森県出身 漫画原作者 作画担当のさとう輝先生とコンビで週刊漫画ゴラクで連載中『銀座「柳寿司」三代目 江戸前の旬』、スピンオフ作品の『寿司魂』『旬と大吾』『ウオバカ!!!』などを執筆。メディアへの出演は、連載20年で「ほとんどない」そう
(C)九十九森/さとう輝・日本文芸社
※『江戸前の旬DELUX』1巻が、日本文芸社より発売中
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