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【食堂のおばちゃんの人生相談】24歳・会社員のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.03.20 11:00 最終更新日:2020.03.20 11:00

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/バビル二世さん(24)会社員】
 私の父は、業界の成功者です。父と関係のない職種を目指しましたが、結局コネ入社でした。父親を超えられないのは、自分でもわかっていますが、何をやっても父に勝てない、この情けない気持ちは、一生続くのでしょうか? 

 

 

【山口先生のお答え】
 男の子にとって父親は乗り越えるべき目標なのですね。今のあなたは、目の前の塀が高すぎて手も足も出ない状態なのでしょう。

 

 でも、あなたはまだ24歳です。お父さんはきっと50歳以上ですね。その二人を今の時点で比べたら、それはあなたが不利ですよ。お父さんには積み上げてきた実績と磨いてきた手腕があります。どちらもまだあなたが手にしていない武器です。

 

 でも、24歳の時のお父さんのことを考えてみて下さい。今のあなたとドングリの背比べの部分も沢山あったんじゃありませんか?

 

 私は正直「父を超えたい」というあなたの願望が、空しいものに思われます。だって、あなたとお父さんは違う人間なんです。良いところも悪いところも、武器も弱点も、二人は違っているんです。それを比べて「勝った」「負けた」と言っても仕方ないですよ。

 

 私はお父さんに比べてあなたが優れている点は「悩み」を持っていることだと思います。父を超えられないという悩み。何一つ父に勝てないという悩み。その悩みを悩むことによって、あなたの心は深く、複雑に進化していきます。やがてはお父さんが到達できなかった境地に達することも出来るかもしれません。

 

 もう一つ、今のあなたが絶対的にお父さんに勝っている点があります。それは「若さ」です。若さだけは、お父さんがどんなに頑張っても取り戻すことが出来ません。失われた貴重な宝です。

 

 ご自分がそれを持っていることを大切にして下さい。本当に「青春は若い奴らには勿体ない」(バーナード・ショー)ですよ。

 


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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