「健康診断の数値に、とらわれる必要はありません」
東海大学名誉教授の大櫛陽一氏は、そう断言する。
大櫛氏は2004年、全国約70万人の健康診断結果から、男女別・年齢別の “正しい基準範囲” を独自に割り出した。その後も、現在まで追跡調査をおこない、多くのデータから、日本の健康診断の基準が、いかに非常識かを明らかにした。
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肥満の原因とされるのが中性脂肪。だが、現行基準を相当オーバーしても問題ない。
「基準値は150以上ですが、50歳から54歳なら、180でも大丈夫。1日の変動が大きいため、数値を気にする必要はありません。
国際基準では、心筋梗塞などの既往症がない場合は『999以下』が正常の範囲。1000を超えるまでは、薬を飲まなくてもかまいません」
神奈川県伊勢原市の2万2099人を追跡調査した結果、いちばん死亡率が低かったのが、男女とも中性脂肪値150以上。欧米では、遺伝的な高血圧症でないかぎり、1000まで薬を飲まなくていい。
【中性脂肪の正しい基準範囲】※現行基準/150以上で異常
・40〜44歳/13〜172
・45〜49歳/7〜194
・50〜54歳/6〜180
・55〜59歳/1〜179
・60〜64歳/20〜163
・65〜69歳/19〜161
おおぐしよういち
1947年生まれ 大阪府出身 「大櫛医学情報研究所」所長 2004年、日本総合健康健診医学会シンポジウムで、今回紹介した日本初の男女別・年齢別基準範囲を発表
※本文中の調査結果は、大櫛氏による
※年齢別の数値は、大櫛陽一著『健康診断「本当の基準値」完全版ハンドブック』(宝島社)より
(週刊FLASH 2020年2月4日号)