ただし、高額療養費制度を直近12カ月以内に3回利用していれば、4回め以降、自己負担上限額が4万4400円に下がります」(同前)
健康保険組合の「付加給付」の利用で、さらに負担額は下がる。加入している健康保険組合によって、その内容は異なるが、組合健保の場合、手術費用に200万円かかっても、自己負担の上限額が2万5000円で済むケースもある。
また、条件が合えば、治療のため働けない場合に給与の一定額が保障される。
「所定の条件を満たせば利用できる、『傷病手当金』という制度があります。あくまで目安ですが、給与の3分の2が給付されます。ただし、同じ疾患では1回だけで、最長、1年半になります。この制度を、ご存じない方もいます。
『ガン』と診断されて退職する人のうち、約4割が治療開始前に辞めているというデータもあります。いまは国も、『仕事と治療を両立していくように』という動きになっているので、早まって辞めないでほしいんです。
仕事を休んだときの保障は、国民健康保険では出ませんが、会社の健康保険であれば利用できる制度なので、ぜひ、覚えておいてください」
制度を活用すれば、医療費は驚くほど抑えられるのだ。一方で、ガン治療は長期戦。検査や治療以外に、保険適用外の出費もある。入院期間が長くなる場合は、注意が必要だ。
「国立がん研究センター中央病院だと、食事1回460円、病衣レンタル代が1日200円。食事は1日3回なので、合計1580円になります。ベッド代は、大部屋の窓側で1日5500円。個室だと3万8500円。Wi-Fiなどの設備が整った広い個室だと、11万円かかります」(前出・宮田さん)
都内の一般的な病院の個室は、1日3万円が目安となる。
「とはいえ、日帰りで抗ガン剤治療ができるようになってきたので、入院より外来の患者さんが増えています」(同前)
医療費を抑え、収入をカバーする制度があることを知っておけば、安心して治療に専念できる。
写真提供&取材協力・国立がん研究センター中央病院
参考文献・『国立がん研究センターのがんとお金の本』(小学館)
※本文中・表中の「自己負担額」は、すべて【年収370万~770万円、70歳未満】のケースです
(週刊FLASH 2020年3月31日・4月7日号)