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『江戸前の旬』原作者「生サーモンやマス寿司はやめておこう」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.04.06 16:00 最終更新日:2020.04.06 16:00
マンガ雑誌『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で、1999年から今も連載が続く、“老舗” の寿司漫画『江戸前の旬』。寿司の具である “タネ” のエピソードを中心に、すでに100巻が発売されている。原作者の九十九森先生が、「寿司ウンチク」を存分に語ってくれた。
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「寿司ダネのなかで広く人気のサーモンですが、私は……食べません。口当たりはいいんですが、後味で生臭い川魚の味がして、イヤなんです。最近のノルウェーサーモンなんかは、それが少なくなったんですけど、わずかに残ってはいる。
そしてじつは、きちんとした寿司職人は昔から、サーモンやサケやマス類で作られる『マス寿司』を食べないんです。理由は、『アニサキス』という寄生虫がいることがあるから。そいつらは、加熱するか冷凍しないと死なないんですよ。
アニサキスに当たると、腹のなかで胃を破って、ひどい目に合う。寿司職人はそれを知っているから、『マス寿司』に限らず、生のサーモンやシャケやマスを食べるのを避けますし、店に置きません」
サケ類の “裏歴史” は、現在では改善され始めている。
「いま、ノルウェーサーモンをはじめ、徹底管理された海のなかで育てられたものは、出荷前にちゃんと機械で1匹ずつ調べているそうです。だから『安全だ』といって生でも輸入されるんですが、私は『100%いないとは限らないな』と思うので、念のため、やめています。
お好きな方も多い『生サーモン』には、危うさもある。一方で、ふつうのサーモンは、-60度ぐらいで冷凍をしているから、逆に安全なんです。そこから、北海道の人がサケやマスを『ルイベ(魚を凍らせたまま食べるの郷土料理)』で食べる理由がわかります。最初、生で食べて当たったんじゃないかな(笑)。
冬場、外に置いたら凍っていたものを食べたら、当たらなくなった。同じ北海道の郷土料理でも、ほかの魚はよく生でも食べられていますし、好んでサケやマスをルイベにしていることから、勝手にそう思っています。これは、漫画でも描いたことがありませんから、いつか書こうかな(笑)」
つくもしん
青森県出身 漫画原作者 作画担当のさとう輝先生とコンビで週刊漫画ゴラクで連載中『銀座「柳寿司」三代目 江戸前の旬』、スピンオフ作品の『寿司魂』『旬と大吾』『ウオバカ!!!』などを執筆。メディアへの出演は、連載20年で「ほとんどない」そう
(C)九十九森/さとう輝・日本文芸社
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