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【食堂のおばちゃんの人生相談】59歳・会社員のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.04.17 11:00 最終更新日:2020.04.17 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/蜩さん(59)会社員】
「実家の母が、週1のペースで遺言状を書き換えている」と、親族から聞いた。散骨の方法や、子供たちへの遺産の割り当てで悩んでいるそうだが、そもそも我が家には悩むほど遺産はない。まだまだ元気だし、恥ずかしいので、「頻繁に遺言状を書き換えるのは慎んでほしい」と思っているのだが……。
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【山口先生のお答え】
いいえ、止めちゃいけません。遺言書の作成は、お母さまにとっては趣味のようなものです。俳句や短歌をひねるのと同じで、良い句が浮かんだから書き留めると、そういう感覚だと思います。
きっとお母さまは遺言状を書き換える度に、昔懐かしい出来事を想い出し、心が浮き立ったりするのでしょう。すでに生き甲斐になっているのかも知れません。もし遺言状の書き換えを差し止められたら、お母さまはガックリして、生きる張り合いをなくしてしまわれるかも知れませんよ。
それと、財産がない家の方が遺産争いが起きやすいのだそうです。財産のある家は相続税対策を含めてキチンと遺言書を作成しているので、いざとなっても争いが起きにくいのですが、ない家は突然の事態に混乱して、骨肉の争いに発展する場合も多いとか。
だから、お母さまには心ゆくまで遺言状を書き換えてもらって下さい。あなたも出来るだけ電話をしたり訪ねたりして、母と息子の時間を大切になさって下さいね。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中