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吉田戦車の在宅仕事術「禅寺の坊さんのように役割分担を…」

ライフ・マネー 投稿日:2020.04.20 11:00FLASH編集部

吉田戦車の在宅仕事術「禅寺の坊さんのように役割分担を…」

3月12日、疫病退散の言い伝えのある妖怪「アマビエ」のイラストをツイッターに投稿

 

「3月22日に、新宿で立ち食いそばを食べたのを最後に、1カ月近く外食していません。それまでは、平日の昼は必ず一人で外に出て、どこかで昼ごはんを食べるのが唯一の楽しみというか、生活の軸になっていたんですけどね」

 

 自宅を仕事場にする漫画家吉田戦車さんにとって、昼の外出は気分転換であり、エッセイ漫画『出かけ親』(『ビッグコミックオリジナル』連載中)のための、ネタ収集の場でもあった。

 

 

「“お出かけ”がテーマですから、コロナ禍のいま、どういうさじ加減で描けばいいんだろう、という思いはあります。4月20日発売の『オリジナル』には、3月に家族3人、自転車で花見に行ったことを描いたんです。花見といっても、立ち止まらず、ぐるっと見て回っただけなんですけどね」

 

 以前は、昼食のあとにスーパーやホームセンターに寄り、買いものするのも日課だった。

 

「自転車エリア内にあるスーパーやホームセンターを、ぜんぶ見て回らずにはいられないという衝動にまかせ、遊んでいましたね。3月に出たエッセイ(『だって買っちゃった』光文社刊)にも書きましたけど、ネットで883円で売っていることを知っているアナログ時計を、5〜6軒まわって1057円で買ったり(笑)。でも、『こんなにぐるぐる何軒も店を回れて得した!』と思うんですよ」

 

「さすがに、そういうのは不要不急だろうということで、いまは物欲を抑えている」という吉田さん。先日は、しまい込んでいたバリカンを引っ張り出してきたという。

 

「1000円カットを愛用しているんですが、わざわざ今行って混雑させることもないだろう、と思っているうちに休業してしまいました。どうしようかと思ったとき、そうだ、俺にはバリカンがあるじゃないかと。風呂場でパンツ一丁になって、カミさんに刈ってもらっています。それが平気な気温にもなってきましたし」

 

 奥さんである漫画家の伊藤理佐さんも、ふだんよりは時間に余裕ができ、進んでバリカンを握ってくれるそうだ。しかし、慣れないテレワークに戸惑う夫婦にとって、昼間も家で顔を合わせてることが、ストレスにつながりがちだ。

 

「このあいだ、高校の同級生たちとオンライン飲み会をしたら、『お前のところはいいよな。生活ぜんぜん変わってないんだろ』と言われました。申し訳ないけど、たしかに変わっていません(笑)。慣れているということもあるんですけど、しっかり役割分担ができているからだと思うんです。

 

 ふだん勤めに出ている人が家にいると、夫婦でストレスを溜めちゃうケースもあるみたいですね。そういう人は、たとえば『ゴミ出しはまかせろ』とか、『風呂場だけは掃除するよ』とか、一点集中で、仕事を引き受けるのはひとつの手かもしれないですね」

 

 吉田さんは、娘が生まれたとき、『チーム吉田』と命名して、お互いの役割分担を決めておいたという。

 

「その分担を、朝起きたら、禅寺のお坊さんのように、無言で始める(笑)。料理は僕の担当で、いまの状況になってからは、3食ぜんぶ僕が作っています。たまに飲みすぎて、10時まで寝ちゃったりするんですけど」

 

 自転車に乗ったり、パンやお惣菜、ピザなど食材を買ったりは楽しんでいるという吉田さんだが、今後しばらく外食は控えるつもりだ。

 

「もし自分に症状が出たら、運よく入院できたとしても、家族は看病も見舞いもできないし、最期の別れもできません。あるいは、私と妻が同時に重症化したとき、子供はどうなるのか、などと想像すると怖くてたまらない。だから、いまできる感染予防対策は真剣にやらなければ、と思っているんです。それに、家族3人が毎食一緒になる機会なんて、いまだけかもしれませんから」

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