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要注意!激増する糖尿病と軌を一にして「ED」も激増中
ライフFLASH編集部
記事投稿日:2016.10.12 20:00 最終更新日:2022.02.04 15:47
ED とは「勃起不全」や「勃起障害」を意味する「Erectile Dysfunction」の頭文字をとったものである。勃起不全になる原因はいくつかあるが、そのひとつが糖尿病である。糖尿病患者が増えればED患者も増える。
そこで、まずは糖尿病の患者数についてのデータを示しておこう。
糖尿病の患者数は世界的に増加を続けている。国際糖尿病連合の発表によれば、2015年現在の糖尿病有病者数は4億1500万人で、2014年より2830万人増えた。
これは世界の成人の11人に1人が糖尿病患者ということだ。このまま放っておけば2040年までに6億4200万人に増加するという。世界一の糖尿病大国は中国で有病者数は1億960万人、日本の全人口に近い。日本は720万人で第9位にランクインしている。
厚生労働省の「2012年国民健康・栄養調査」によれば、日本の糖尿病人口は推計で、強く疑われる人が950万人、糖尿病の可能性を否定できない人が1100万人、合わせて2050万人になるという。成人の5人に1人が糖尿病もしくはその予備軍だ。
また「2014年患者調査の概況」によれば、糖尿病の患者数は316万6000人で、2011年の調査より46万6000人増えて過去最高になった(うち男性は176 万8000人で3年前の調査より28万1000 人増加した)。
糖尿病は自覚症状がなくゆっくり進行するために、自分が糖尿病であることを知らないか、またはなんとなく気づいていても、日常生活に支障がないために検診や治療を受けていない人が多い。したがって糖尿病人口を正確につかむのは難しく、データによってばらつきがある。
糖尿病患者のED 発症率は健康な人の2 ~ 3倍に上るといわれる。30代の糖尿病患者では約3割、40代以降では約5割にEDが認められ、日本全体では100万~ 200万人の糖尿病性ED患者がいると推定されている。
そもそも勃起現象とは陰茎の海綿体に大量の血液を送り込んで勃起させ、性行為が終わるまでその血液が流れ出ないように溜め込み、硬さを維持することである。
ところが糖尿病は血液の高血糖状態が続くことで、自律神経や血管内皮、血管壁に障害を引き起こす。神経障害は性的刺激や感度を鈍くさせ、血管障害は海綿体への血液の流入や貯留を妨げる。
血液が海綿体に十分に行き渡らないために勃起が不十分だったり、また血液が溜まらずに流れ出してしまうために途中で萎えてしまったりするのである。
糖尿病の怖いところは、EDは悪化の初期現象にすぎず、放っておけば同じような経過をたどって心臓血管の障害、そして脳血管の障害へと進むことだ。ほかにも失明の原因になる網膜症や、透析に至る腎症なども引き起こす。
病気はなんでも早期発見と速やかな治療が重要だ。糖尿病はごく簡単な血糖値検査だけで発見できるから、30歳を過ぎたら必ず検査を受けるべきだろう。
では、糖尿病性ED患者で治療を受けている人の割合はどれくらいか? なんと患者全体のわずか1%程度、1万~ 2万人と考えられる。恥ずかしいのか、それとも「もういい」と思っているのか?
長寿社会の「性春時代」は長い。楽しみをあきらめるのは早いし、なによりも糖尿病を放っておけば命が危ない。