今、土下座がブームだ。火付け役は『半沢直樹』だろうが、古代日本について記述した中国の歴史書にも出てくるそうで、これを「まさに『日本の文化』だ」、と語るのはニュースキャスターの辛坊治郎氏。
先ごろ北海道警札幌東署が43歳の介護職員の女を強要の疑いで逮捕した。女はショッピングセンターで買ったタオルケットに穴が開いていたとクレームをつける際に、商品代金だけでなく店までの交通費も要求、さらに店の従業員2人に土下座をさせた。
「どうしてこの女が逮捕されたかというと、店員が土下座している写真を自分でツイッターに投稿したからです。これがネット上で話題になり、写真を晒された従業員や店が警察に訴えたために『御用!』となったわけです。この女は、世間に注目されるのが嬉しかったんでしょうが、自分の犯罪行為を、自ら全世界に公開してどうするんですか?」
こう語る辛坊さんが「このニュースを聞いて閃いた」という、クレーマーへの最終手段としての「土下座」を語ってくれた。
「皆さん、お客さんにクレームつけられることってないですか?私なんか、関西のテレビ局で毎日生放送を担当していますから、それこそ『暴言、失言』のオンパレードで、局には連日すごい勢いでクレームが来ている……なんてことはありませんが、そのリスクは常にあります。
クレームにもいろんなケースがありますが、いちばん困るのが、明らかに自分に落度があって、なおかつ相手がクレーマーというケースです。クレーマーの皆さんはクレームをつけるのが楽しみでやってきますから、どう謝っても簡単に許してくれません。さあ、このときどうするか?
いよいよどうにもならなくなったら、最後の手段をつかいましょう。それは、火に油を注げばいいんです。このとき大切なのは、相手にさらなるクレームのネタを提供しないことです。暴言なんか吐いたり、ましてや暴力を振るったりしてはいけません。
まず静かに防犯カメラの撮影範囲に移動します。そしてカメラを背に向けて立ち、クレーマーに向かって口の端に薄ら笑いを浮かべます。あるいは相手の耳にしか聞こえないくらいの音で、舌打ちするのもきわめて有効です。こうすれば間違いなくクレーマーはさらに激昂します。その結果、クレーマーが『土下座しろ!』って叫べばしめたものです。なにせ今は空前の『土下座ブーム』ですから、クレーマーが思わずこのせりふを口にする可能性はきわめて大きいです。
このときがチャンスです。すぐに誠心誠意深々と土下座しましょう。この瞬間に強要罪が成立して、見事形勢逆転です。この際、相手が頭のひとつも踏んづけてくれれば完璧です。強要罪に加えて暴行罪も成立です。後はがなりたてるクレーマーを前に静かに警察に電話して、証拠のビデオを提供すればいいんです。これでクレームのもとになったあなたの落度は見事に帳消しになります。
でもね、あなたが舌打ちをした瞬間に、いきなり殴られて大怪我するリスクはあります。どうぞ、そのあたりは自己責任でお願いします」
(週刊FLASH 2013年10月29日)