近年“おじさんブーム”が起こっている。本誌が渋谷で20代女子50人に調査を行ったところ、5人に1人が「40代と交際OK」との結果が。またおじさん育成ゲームアプリの登場や、『おじさん図鑑』なる書籍がヒットするなど、ゆるキャラ的に愛でられる傾向があるのだ。博報堂若者研究所リーダーの原田曜平氏は、その原因を2つ挙げる。
「1つは、全体的におじさん世代の見た目が若々しくなってきていることです」
男性向けアンチエイジング治療などが普及した背景には、ミドルエイジの若さへの高い意識が影響しているようだ。
「2つ目は、昔ほどの威厳を保てなくなっているからだと言えます。昇進するのも難しく、会社でのポジションを守ることに苦労するだけに、自信が失われているように思えます」
その結果、確実に立場の壁は薄くなっているというのだ。では、20代の若者世代は、おやじ世代に何を求めているのか。原田氏は語る。
「昔の上司は、部下とは気安い仲にならないが、リーダーシップを発揮するタイプが多かったように思います。野球でたとえるならば、野村克也氏のような人物ですね。いまの上司は、コミュニケーションは取りやすいが、力強さに欠けるというタイプが多いようです。工藤公康氏の世代があてはまるのではないでしょうか。若者たちは理想の上司像に、その両方のよさを合わせ持つ、ハイブリッド型を求めているのでしょう」
ならば新世代のリーダーに求められる条件とは、何か。
「平たく言うと、オンとオフの切り替えができることです。若者たちは、しっかりと道を指し示して、牽引してくれる上司を求めている一方で、高圧的な態度がつづくと、ついていけなくなってしまいます。阪神監督の金本知憲氏は、そういう意味では、理想の上司になれるかもしれません。練習や試合では厳しい指導者に。オフでは頼れるアニキ役として」
若者のニーズに合わせることは、迎合するということではない。彼らの行動に興味を持ち、分析することで、彼らの力を引き出せる理想の上司、ひいては“モテオヤジ”となれるのだ。
(週刊FLASH 2015年12月1日号)