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「病院間の技術格差大きい」第1人者語る大腸がん最新検査&治療
ライフFLASH編集部
記事投稿日:2015.09.24 06:00 最終更新日:2016.02.22 07:55
国立がん研究センターが8月に発表した’13年の症例数で、大腸ガンは最多の約9万2,000例。今年の死亡者予測数も男女合わせて約5万600人と、肺がんに次いで2位だ。
大腸ガン検診といえば、検便、そして内視鏡検査だが、いま内視鏡に代わる検査法として「CTコロノグラフィー」が注目されている。
「炭酸ガスを肛門から注入して大腸を膨らませ、患者様は横になっているだけでいい。内視鏡を使わず精度の高い検査データが得られます」(東京国際クリニック消化器内科・宮崎郁子医師)
そのあいだ、最新マルチスライスCT撮影装置が約10秒間の撮影を2回行なう。大腸の三次元画像をつくり、ガンやポリープなどを診断する。
「内視鏡では見落としがちな大腸のひだ裏の観察にも優れています」(同)
前日から食事制限や薬の服用はあるが、検査は午前中だけで終了。検査結果は2週間後、PC画面を示しながら説明してくれる。検査料は4万円(初診料別・税別)。安心の値段として、高くはない。
では、もし大腸ガンが見つかり、手術をしなければならなくなった場合、どんな手術を受けられるのか。本誌は、この分野で日本屈指の実績を持つ大阪医科大学付属病院がんセンターに向かった。
センターを率いる奥田準二特務教授は、「大腸ガンの手術では、病院間の技術格差が大きい」と言う。
いま、大腸ガンの手術で主流なのが腹腔鏡手術。お腹に5ミリから1センチの小さな穴を5カ所ほど空け、内視鏡と器械を使ってガンを切除する方法だ。開腹手術と比べて難易度は非常に高いが、患者の回復は早く後遺症も少ない。保険適用が可能になったこともあり、国内有数の年間500件の腹腔鏡手術がおこなわれている。
同センターのもうひとつの強みが、奥田医師が「究極の肛門温存術」と呼ぶ直腸切除術だ。
「従来、肛門近くの直腸ガン手術では、永久人工肛門を余儀なくされ、さらに排尿や性の機能も失われてしまいました。現在は、腫瘍から肛門まで3センチほど距離があれば、3D腹腔鏡を使って腹部と肛門から同時に腫瘍にアプローチできるようになった。括約筋を3分の2残して、肛門を温存できるのです」
同センターの肛門温存率は93%(通常80〜90%)にもなるという。
(週刊FLASH 2015年9月29日・10月6日号)