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尾畠春夫さんに聞いた「ボランティア7訓」あなたもできる!

ライフ 投稿日:2018.09.24 06:00FLASH編集部

尾畠春夫さんに聞いた「ボランティア7訓」あなたもできる!

 

「夏は汗をかきます。外で作業をする日の朝食は梅干しを多めに。食後に汗をかかない夕食などでは少なめにと、調整します」(尾畠さん、以下同)

 

 尾畠春夫さん(78)は、今日も被災地で活動をしていた。現場での主食は「パックご飯の梅干し水漬け」。

 

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 本誌記者もご馳走になってしまった。パックご飯はレンジで温めずに食べると美味しくない。だが、水をかけたこの逸品はうまいのだった。

 

 新潟県中越地震を皮切りに、東日本大震災、熊本地震など被災地に赴き続ける尾畠さんに、ボランティアの心得を聞いた。

 

「皆が皆、私のようにやらないといけない、なんてことはありません。あくまでも私はこういう考えです」と “尾畠流” と断わったうえで教えてくれた。

 

(1)自己完結する

 

「食事、服、生活用品などすべて自分で準備して持って行き、持って帰るのが基本中の基本です。被災地で被災者に『何かください』と言うのはもってのほかです」

 

(2)自分の身を守る

 

 健康管理には気をつける。
「熱中症や病気になれば、かえって被災地に迷惑をかけます。怪我を防ぐことも大切」

 

(3)仲間の身を守る

 

 土囊をリレーで運ぶとき、尾畠さんは「これは姉さんの体重と同じ28キロ」「次は重たいから気をつけて」と、冗談まじりに、大声を出しながらおこなう。理由がある。
「声も音もなく黙々としんどい作業をしていると、意識が朦朧として、怪我をすることが多いんです」

 

(4)被災者に風呂や洗濯や、着替えについて尋ねない

 

「東日本大震災の当初、宮城県の南三陸町では、1000人収容のアリーナに1800人が押し込められていました。被災した人は、この状態で風呂や着替えなんてことを、言葉にするどころじゃないです。それを尋ねるのは禁句どころではないと思いました。寒さに耐えて、こんな苦しい思いをして。昨日まで家族と一緒に温かいご飯を食べてた……」
 そう言うと、尾畠さんは目頭を押さえて声を詰まらせた。

 

(5)被災者にかける言葉

 

「お怪我はなかったですか」と「私にできることなら、なんでもお手伝いさせてください」の2つで十分。それ以上のことは被災者に聞かない。
「怖かったか、辛かったか、家は、家族は、なんて聞かれ、快く思う人はいませんから」

 

(6)経験、知識をフル活用

 

「地震で倒壊して、赤紙が貼られて中に入れない家がありました。でも、母親の形見の琴が心配な姉さんがいたんです。私は、どの柱が生きている(建物を支えている)のか、そうでないかがわかります。死んだ木を取り除き、倒壊した家の中から琴を取り出したときは、本当に感謝されました。

 

 これも私が魚屋を始める前に、東京で鳶として働き、建築の知識や経験があったからできたこと。同様に、一人ひとり、これまでの人生で培ってきたことを生かすのが、本当のボランティアだと思います」

 

(7)日常の生活こそが重要

 

「日ごろの心構えと健康維持が大事です。ある程度、日ごろから、ボランティアに行ったときと近い日常生活を送るように、私はしています」

 

 確かに、尾畠さんの寝る場所は自宅の板の間か、車の荷台。基本的にどちらも寝袋だ。食事もパックご飯にのせるものが、ブラジル産の鶏肉か、冒頭の梅干しか、の違いだけだ。

 

 最後に初心者に向けてーー。

 

「大切なのは、被災地に躊躇せずに足を運ぶこと。より多くの人にボランティアに来ていただけたら」

 

(週刊FLASH 2018年9月11日号)

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