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ネクタイ着こなし方のヒント「相手へのサイン」と思え

ライフFLASH編集部
記事投稿日:2018.09.24 06:00 最終更新日:2018.09.24 06:00

ネクタイ着こなし方のヒント「相手へのサイン」と思え

写真:AC

 

 駆け出し記者時代、私は有名ブランドの打ち合わせブースで要人を待っていた。その時、50代と思しき男性が求職にやって来た。男性より15歳は若そうな人事担当者は男性を一瞥するや「採用する人はもう決まってしまったんですよ」と嘘を言い(あとでわかった)、履歴書すら見ず、けんもほろろに門前払いした。

 

 確かにその男性、スーツはサイズが合っていなかったし、靴は傷んでいたし、1ミリも有能には見えなかった。

 

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 その日の夜、残酷な現実を目の当たりにした私は心に誓った。見た目で損をしている人の味方になりたい。そして、ファッションに興味がない人にこそ、見た目がいかに重要なのかを粘り強く伝えたい、と。

 

 たとえば、日本人の着こなしで、今ひとつだと思うのがネクタイの使い分けだ。

 

 スーツやシャツと色が合う、デザインが好み、お洒落に見える、という理由でネクタイを選び、日々、何となくの気分で締めている人が多い。

 

 ネクタイはお洒落ではない。ネクタイは相手へのサインだ。それを踏まえて仕事をしているか、いないかで与える印象は大きく変わる。そこでネクタイを3つに大別してみる。

 

(1)シリアスなネクタイ
(2)お祝いのネクタイ
(3)遊びのネクタイ

 

 この中で、遊びのネクタイというのは、典型的な例を挙げると、高品質な生地を用い、エメラルドグリーンの地に細かい鴨の絵が規則的に小紋柄のように並んでいるようなタイプ。機能的には、夜の銀座で「カワイイ! そのネクタイ~」とちやほやされるという至福の効能がある。

 

 問題なのは、日本のビジネスシーンにおいて、この「カワイイ!」ネクタイが結構、普通に見受けられることだ。締めている本人は高価だから大丈夫、と考えているからなのだろう。高価=一流品=オールマイティという勘違いだ。

 

 次にシリアスなネクタイ。これこそ仕事をする男のネクタイである。この仕事に使うネクタイの中にもシリアス度の違いがある。

 

◯シリアス度・高(謝罪など)
→ネイビーのソリッドタイ、ネイビーに白1本線のストライプタイ
◯シリアス度・中(進行やプレゼンなど)
→赤系のストライプタイ、小紋タイ、ピンドットタイ
◯シリアス度・低(日常)
→その他のストライプタイ、小紋タイ、ピンドットタイ

 

 謝罪の際には、甘い雰囲気が一切ないネイビータイがふさわしい。

 

 進行やプレゼンの時、赤系のネクタイをすすめるのはきっぱりとした態度、意志を感じさせるから。

 

 アメリカの大統領は重要事項を伝達する際、赤いネクタイを締めることが非常に多い。国民に言葉より先に視覚で注意を促す、そのサインが赤いネクタイだ。

 

 日常の仕事では、伝統的なデザインであれば問題ない。

 

 最後に、お祝いのネクタイ。これは色で分けると、ゴールド、シルバー、白、ピンク、イエローなどが当てはまる。華やかで浮遊感があるから、結婚式やパーティ、レセプションなどで映えるのだ――。

 


 
 以上、片瀬平太氏の新刊『〈オールカラー版〉 究極のお洒落はメイド・イン・ジャパンの服』(光文社新書)を元に再構成しました。『王様の仕立て屋』監修を務める服飾記者が紹介する「日本製服飾品」の神髄とは?

 

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