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コンビニ店長が初めて語った「売りまくりの技術」!

ライフ 投稿日:2016.03.24 06:00FLASH編集部

コンビニ店長が初めて語った「売りまくりの技術」!

写真:AFLO

 

  ふだんの生活に欠かせないコンビニ。実際の現場ではどんなことが起こっているのか。今回は匿名を条件に都内の店舗で店長を務める3人の男性を招いて座談会をおこなった。いずれの店舗も誰もが名前を知っている超メジャーどころだ。三者三様のコンビニ事情を見てみよう。

 

 ひとくちにコンビニといっても、立地条件で特徴が出てきますよね。うちは住宅街のど真ん中だから、詰め替え用の洗剤なんかの生活用品を充実させてます。

 

 僕の店はいわゆるロードサイド店。まわりに取り立てて娯楽施設がないんです。だからあえて雑然とした棚作りをして「ドン・キホーテ」っぽくしたら、これが好評でしたね。

 

 僕のところは駅前なので、とにかく店が狭い。いかに買いやすい棚を作るかが勝負です。 ──とはいえ、どの店でも共通の「お客が入りやすい」環境はあるんですよね?

 

 そうですね。理想的なのはお客さんに店の中を一方通行で回ってもらって、なるべく多くの商品を見ていただけるようになっていること。

 

 逆にこれができてないと、お客さんは自分でも気がつかないうちに、だんだんと「不愉快な店」と感じるようになってしまうんですよ。

 

 買い物カゴも重要なんです。カゴは売れ筋商品が並ぶゴンドラのそばや、飲み物コーナーがある店の入口と隅に置いてありますよね。手がいっぱいになると、人はものを買わなくなることを考えての配置なんです。

 

 意外と思われるかもしれないですけど、立ち読みをするお客さんも大事なんですよ。ちゃんと人が入っているのがわかるので、人寄せと防犯効果がある。だから、雑誌コーナーって外から見える位置に設置されているんです。女性でも入りやすいように、入口の近くには主婦向け雑誌だったり、女性誌を置いておく店が多いですよね。

 

 お客さんに入ってもらえるような安心感って大事ですよね。うちのチェーンは室内灯の明るさまで「◯ルクス」って設定が決まっているぐらいですから。

 

 うちはあえて、パートのおばちゃんを雇っています。いくらキレイな若い女のコもあの柔和な感じは出せない。安心してまかせられます。 ──季節によって売れ筋は変わるものですか?

 

 大ありですよ。夏はなんといっても冷たいものですね。冷やし中華やざるそばは天気によって売り上げがまったく変わってきます。たとえば「昨日は雨が降って気温は20度以下だったから、冷やし中華は5個しか売れなかった。でも、今日は梅雨の晴れ間で気温が急上昇し、100個も売れた」。そんなケースがままあります。だから、我々は天気予報には気を配りますね。

 

 とくに、前日との温度差や天気の差が重要なんです。湿度、風、日射など、実際の気温より体感温度を予測しながら、商品の発注をするわけです。

 

 ただ、暑くなってゆくにつれて売れ筋が変わってゆく法則はありますね。アイスだったら春先はバニラ系などのいわゆるアイスクリームが主流なんですが、真夏になると「ガリガリくん」みたいな氷菓系がよく売れます。

 

 さっぱりしたものが好まれるんでしょうね。おにぎりでも同じことがいえて、初夏のころはマヨネーズ系の濃厚なものが売れるけど、真夏には梅味が伸びてきます。

 

 ただ、季節の商品って、じつはだいぶ前倒しで売れ出すんですよね。冷やし中華はいちばん売れるのは、まだそれほど暑くない6月なんですよ。物珍しさから、手に取るという心理が働くのかもしれませんね。

 

 そうそう。夏真っ盛りの7、8月も売れるけど6月ほどは期待できない。お盆を過ぎたら、ぜんぜんダメ。きっと飽きちゃうんでしょう。

 

 まったく同じ話で、おでんがもっとも売れるのは残暑が残る9月なんです。「おでんの季節です」っていうキャンペーンを始めると、お客さんが衝動的に買ってくれる。店側としても大事なのは「うちの店にはもう季節商品が置いてあります」というアピールだったりするんです。

 

●給料日にはATM近くにポップが出現

 

──年間を通して売り上げを伸ばそうと心がけている点は?

 

 僕の場合はカレンダーを見て作戦を練ってますね。たとえば、4月4日は製パン業のキムラヤが明治天皇にアンパンを献上したことから「アンパンの日」といわれてるんです。そこで棚一段をぜんぶキムラヤのアンパンにして、あからさまに売りをアピールしてみました。お客さんの目にとまって、2倍近く売れましたよ。

 

 これもあからさまと言われそうですが、ウチではお客さんの給料日の毎月20日ごろから数日間、店内のATM近くに「◯◯新発売」と書いたポップを出します(笑)。あと、給料日後には150円以上するようなちょっと値の張るおにぎりを、いつもより多く発注してみたりとか。

 

 ありますね。うちは住宅街でお年寄りもいらっしゃるから、年金支給日の前後に和菓子の発注を増やしています。

 

 いかに「売れている感」を演出するかも大事な仕事です。大量に新商品を仕入れたのにごっそり余っちゃった場合は一度、裏に引っ込めて、小出しにしながら売るなどの工夫してますよ。

 

 うちはタバコを買ってもらえるよう、手に取りやすい場所に置いています。タバコじたいの利益率は1割程度なんですけど、うちの場合は3割ぐらいの方がコーヒーや週刊誌もついでに買ってくれるんですよ。これらの商品は利益率がいいから助かります。

 

 コンビニって定価販売ってイメージがあると思うんですけど、僕のところは有名なカップアイスを20種類ぐらいごちゃまぜに入れて88円セールをやったんですよ。宝探し的な楽しさとコンビニがセールをやるという意外性がウケたのか、一週間で700個売り切りました。

 

 へぇ、それはすごい。私のところは高級志向のプライベートブランドに力を入れてますね。ほかより200円高いPBの缶詰でも「◯○産の鮭」などポップで詳細に説明することで、付加価値をアピールして買ってもらっています。

 

 お客さんに「また、お店に行きたい」と思っていただけるものをいかに売り込むかが、最終的にはいちばん大事なんですよね。以前、1日に480個同じおにぎりを売ったことがあるんですけど、店員が「おすすめですよー!」とお客さんに声をかけた結果でした。

 

 店内レイアウト、天気、人の心理まで読み解きながら、コンビニ店長は日夜格闘しているのだ。

 

(週刊FLASH 2013年6月18日号)

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