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ガソリンのエンプティマークがついてから車は何キロ走れる?

ライフ 投稿日:2016.05.01 12:00FLASH編集部

ガソリンのエンプティマークがついてから車は何キロ走れる?

写真:AFLO

 

 運転中にガソリン警告灯がつくと、死ぬほど焦る。高速道路でガソリンがなくなると違法だし、一般道でも渋滞を引き起こすことは必至だ。そこで、マークが点灯後にどれくらい走れるのか、軽とエコカーとミニバンの3台を使って実験してみた。

 

 立ち往生回避のため、20リットル入りのガソリン携行缶を1個と連絡用のトランシーバーを準備して、スタート地点の東名高速・東京インター入口に3台が集結。

 

 それぞれ2人乗りで、ここから東名高速と国道246号を走って、86キロ離れた静岡県の御殿場インターを目指す。

 

 とりあえず20キロ先の横浜インターまで東名高速を走ることにした。ここなら各車とも確実に到着できるポイントであり、道交法違反となる高速道路上でのガス欠を回避できるからだ。

 

 さて、クルマ好きのモデル・琴菜クンがスペーシア、レーシングドライバーの東徹次郎さんがアクア、そして自動車ライターの永田恵一さんがノアを担当し、いよいよスタート。

 

 “ごく普通にドライブする”という唯一のルールを守りながら、3台とも無事に横浜インターに到着。国道246号に入ると、途中の大和市や座間市で渋滞に遭遇しながらも、無事、厚木市街地へ。

 

 ここでもスペーシアとアクアは余裕たっぷりで走っていたが、ノアからは「まだ、大丈夫ですかねぇ」と弱音が聞こえてきた。

 

「リッター10キロで計算してもまだまだ走れるから大丈夫だよ」と全員から励まされる。しかし、伊勢原を過ぎたあたりから、目に見えて上り勾配が急になってきた。

 

 渋滞もなく順調なのだが、上りは燃費悪化の原因だ。とくに車重のあるノアにとってはきつい。それでも秦野を過ぎ、スタートから64キロの松田まで3台とも無事に走りきった。

 

 しかし、この先はさらに上りがきつくなる。スタート地点とここ松田の最大標高差は171メートルだが、御殿場との標高差は430メートルほど。これから先の急坂はキツいぞー。

 

 国道246号は曲がりくねった山岳路に突入する。スタートから75キロをクリアすると、スペーシアの琴菜クンからも「止まったらどうするんですか? 危なくないですか?」とおびえた様子で連絡が入るようになった。

 

 計算上、ノアもスペーシアも御殿場に着けるはずなのだが……。ここまで来てもアクアからは「みんな大変ですね」とゆとりのコメントが入っただけ。

 

 そしてついに「あの~、エンジンが息切れを起こしているような……」。ノアからだ。もうすぐ坂道を上り切り、御殿場に入ろうかという83キロ地点でプスプスと息切れする感じが続き、84.1キロ地点でシューとゆっくり停止した。

 

 近くにはちょうど「道の駅・ふじおやま」があり、ここで携行缶から給油し、ノアのテストは終了だ。

 

●悪魔の峠越えで、ついにアクアも停止

 

 残る2台は難なく90キロ地点の御殿場に到着。計算上、まだ、少なくとも30キロは走れるはずだ。そこで国道246号を離れ、レーシングドライバー東さんの仕事場でもある富士スピードウェイを目指すことにした。道は渋滞もなく、富士山を眺めながらのドライブは快適そのもの。

 

 だが、アップダウンが連続するため、燃費がキツい状況には変わりなし。それでもサーキットの入口(103キロ地点)まで2台とも到着。「それにしてもよく走るね」と全員で感心するものの、いったいいつまで続くんだよ、と気分が重くなってきた。

 

 そこで一気に決着をつけるため、県道147号を走り、明神峠と十国峠を越えて山中湖に出るという超ヘビー条件を与えることに。わずか4キロの間に400メートル以上上る悪魔の峠越えだ。

 

 その効果はいきなり現われた。突如、スペーシアの琴菜クンから“あ~ん、もうダメぇ~~”と色っぽい悲鳴が! 息切れが始まり、プスプスシューと完全停止したのが104.5キロ地点の山の中。やった~……じゃなくて、よく頑張った、琴菜クン。

 

 さて、残るはアクアである。峠も越えて110キロ地点の山名湖まで走りきった。全員、あきれ顔である。ここまで来たら富士五湖を全部見てやろうと、今度は河口湖を目指す。

 

 山中湖から約16キロ、ゆるい下りのルートである。アクアは国道138号の流れに乗って快調に走る。が、変調は突然訪れた。国道脇の「道の駅・富士吉田」を過ぎたところで「あれ、アクセルを踏み込んでもエンジンじゃなくて“EVモード”だけで走っているよ」と東さんから連絡が入ったのだ。

 

 本来、アクアはアクセルをグッと踏み込むと、エンジンとモーターが協力しあって加速する。それがモーターだけということは、すでにガソリンは尽きたということか。

 

 アクアから、「あ、バッテリー容量がみるみる減ってきています。もうすぐEVモードも終わりそうです!」と緊迫の声が聞こえてきた。さすがにアクアでも峠越えが効いたのか。計算では可能なはずの河口湖到着は無理なのか。一同が緊張するなか、「あ、止まります! 止まります!」と連絡が入ってきた。  

 

 ちょうど、国道脇には「冨士浅間神社」の駐車場が見えてきた。迷わず、アクアを滑り込ませたところで、まったく動かなくなってしまった。道路上で停車したら、後続車に迷惑をかけただろうから、本当に助かった。

 

 そこで距離を確認すると129.6キロ地点。本当によく頑張った、と全員心から感心し、実験終了に安堵して思わず拍手が出てしまったほどだ。

 

●積載重量が増えれば、燃費は急降下する

 

 それにしても、走れる距離には坂道が大きく影響するようだ。そこで後日、今度は乗車人数や荷物といった重量の違いによる燃費の違いを、アクアでチェックすることにした。

 

 平坦なルートを最初は1人で走行した結果、燃費はリッター29.5キロ。帰りは大人の男3人で乗って走り、リッター24.1キロ。じつに2割ほど低下したのだ。坂道や重量はジワジワと“走行可能距離”を縮めてしまう。燃費を高めるには、やはりなるべく軽くするのが基本なのだ。

 

 最後にプロレーサーの東さんからアドバイスをもらおう。

 

「旧型のクルマでも、エンプティマークが点灯してから、だいたい50キロ以上は走れるようになっています。でも、ルートや重量、走り方で走行距離は大きく変わってくるので、できればエンプティの警告が出る前に給油することを心がけましょう。給油の目安は、ガソリンの残量が4分の1を切ったあたりがベストです」とのことだ。

 

 ちなみに、昨年のJAF出動理由のうち、ガス欠は一般道で7位、高速道路では2位にランクインしている。バッテリーが上がったり、パンクするトラブルは目に見えないから予測不可能だが、ガス欠は十分に予測できること。

 

 それに、高速では違反だし、重大事故を誘発する恐れもあるので、エンプティマークは絶対に点灯させない! ということをドライバーの義務と心得てほしい。

 

【今週の白黒!】意外や意外、80キロは楽勝で到達。マークが点灯しても焦る必要なし(あくまで本誌実験によるものです)。

 

(週刊FLASH 2013年5月7日号)

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