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“自転車違反金制度”実現で、原付と同額の罰金も…
マネーFLASH編集部
記事投稿日:2013.03.14 07:00 最終更新日:2016.03.03 22:36
「じつは’06年から、自転車の取り締まり件数が異常に増えています。警視庁から号令がかかり激増したのです」
そう語るのは、交通違反を取材して30年のジャーナリスト・今井亮一氏だ。警視庁がまとめた全国「軽車両(おもに自転車)の違反」取り締まり件数を見れば一目瞭然だ。’05年まで毎年210~300件程度で推移していたが、’12年には5321件と急激な上昇カーブを描いている。
「明らかに意図的な自転車の取り締まり件数の増加。最近、新聞やテレビがたびたび報じる”悪質”な自転車利用者への批判報道。警察が、『自転車をもっと規制すべき』という世論を喚起し、なにかを狙っているのは明らかです」(今井氏)
その狙いのひとつが「自転車違反金」なる新制度の導入だという。それはいったいどのような制度なのか。ジャーナリストの小谷洋之氏が解説する。
「現行制度で自転車の交通違反の取り締まりを増やすと、違反者をすべて裁判所に送り込まねばならず、警察の事務処理がパンクします。そして、裁判所でいくら自転車の交通違反者を罰金刑にしても、『罰金』は国庫に直行です。警察の“収入”になる反則金と違って、警察組織に“うまみ”がない。そこで、新たな交通警察の利権となる『自転車違反金』制度を構築しようというわけです」
この「罰金」でも「反則金」でもない「制裁金」という制度は、すでに交通分野で実用化されている。’06年から開始された「放置違反金」がそれだ。「駐車監視員」による取り締まりは日常の光景になったが、自転車違反金制度が誕生すれば「自転車監視員」が街を歩くことになると前出の今井氏は話す。
それでは、どんな違反で、どれだけの違反金が取られるのだろうか。「自転車違反金の額は、原付の反則金を基準に決められるでしょう」と語る今井氏に、「自転車違反金」が創設された場合の違反金の額をいくつか予想してもらった。
「ベルを装備してない」――違反金5000円。
「自転車横断帯があるのに横断歩道を走行」――違反金5000円。
「傘を差して運転」――違反金5000円。
「歩道をガンガン走る」――違反金6000円。
もちろん悪質な運転が取り締まられると言われたら、国民は賛成せざるをえない。だが、買い物に行くのに自転車に乗る人間で、家に帰るまで一度も“交通違反”をしない人間がいるだろうか。はたして現在の日本でこのような制度は妥当なのか。
「ただ、全国的にガンガン取り締まるわけではない。駐車違反と同じで、自転車の違反が撲滅されたら利権が崩れる。東京都はある時期、駐車違反が減ってきたので取り締まり予算を減らしたら、違反件数が戻ってきた。細く長く儲ける。これが交通利権の鉄則です。養殖と同じようなものですね」(今井氏)
(週刊FLASH 2013年3月26日号)