ライフ・マネーライフ・マネー

ふるさと納税でバー開業……達人が語る「斜め上」の活用術

マネー 投稿日:2016.03.08 17:35FLASH編集部

ふるさと納税でバー開業……達人が語る「斜め上」の活用術

ふるさと納税でバーを開いた大和屋暁さん(左)と藤村恵子さん

 

 

 「世界遺産の『荒船風穴(あらふねふうけつ)』をタクシーで案内してもらったのですが、ふだんは非公開の部分まで特別に入れた。一般客が『あの人たちは特別なのね』とささやいていて、優越感を味わえました」

 

 2015年9月に群馬県の下仁田町を旅行したOLがそう語る。じつはこれ、話題の「ふるさと納税」を利用し、実質2000円で見学できる人気ツアーなのだ。

 

「『ふるさと納税』とは、お気に入りの市町村へ『寄付』をすると、2000円を超えた額だけ、住んでいる市町村の住民税が減税(控除)される制度です。寄付のお礼として蟹や肉などの特産品が返礼品として送られてきたり、ツアーなどに参加できるのです」

 

 こう解説するのは、東京や名古屋でおこなう「ふるさと納税セミナー」が人気のフィナンシャルプランナー・坂井武氏だ。

 

 雑誌やテレビで知って気になってはいるが、まだ実行していないという人も多いだろう。 それでは、一足先に得をしている達人たちに話を聞いてみよう。

 

 まずご登場いただくのは、アニメの人気脚本家で馬主の大和屋暁さんと、その従兄弟の妻、藤村恵子さんだ。大和屋さんは、競走馬「ジャスタウェイ」がGⅠで3勝し、大金が転がり込んできた。

 

「勝負事を商売にしている以上、節税なんてしたら運が逃げるんじゃないかと思っていました。それに、なにより面倒だった(笑)」と乗り気ではなかった大和屋さん。

 

 雑誌ライターをしていた藤村さんが運用を買って出た。藤村さんは、『ふるさとチョイス』というサイトをフル活用し、10日間で31市町村に寄付。

 

 すると、毎日のように米、松茸、酒などが届くようになった。

 

「不眠不休のハイテンションで、人間国宝が作った壺や一日町長の権利も申し込んでしまいました。町長役は(大和屋)暁さんに押しつけましたが」と藤村さんは笑う。

 

 藤村さんはゲットした壺を飾り、焼酎365本、食器、鍋、包丁なども返礼品で取り揃え、なんとふるさと納税でバーまで開店してしまったという。

 

 一方、飲食店を営む小原伸生さんもふるさと納税を最大限利用する。

 

「重要なのは還元率です。たとえば1万円寄付し、5000円の品物がもらえるとすると還元率は50%になる。多くの市町村で返礼品になっている米を基準にするとわかりやすいですよ。1万円寄付して米10キロで、ほぼ還元率50%です。米の還元率が高い市町村は、ほかの返礼品も高還元率といえます」

 

 同様に、ふるさと納税ガイドの草分けである金森重樹さんもこう話す。 「たとえば、千葉県大多喜町の感謝券(商品券)は還元率が70%あり、重宝しています。レジャー利用はもちろん、町内のショッピングセンターや、『大多喜百貨店』という通販サイトでも買い物することができますよ」

 

 最近のトレンドは、「旅」の返礼品に高還元率のものが多く登場していることだ。ふるさと納税での旅行を堪能するサラリーマンが語る。

 

「かつて、ツアー系の返礼品は宿泊券や体験チケットだけで、現地までは自腹でした。しかし、2014年、関西国際空港のお膝元、大阪府泉佐野市が航空会社のポイントを特典にしたのです」

 

 その後、宮崎県綾町が羽田〜宮崎の往復航空券と町営宿泊施設1泊、レンタカーのセットを提供しはじめ、電車1両貸切(秋田県由利本荘市)や古墳を巡る考古学ツアー(奈良県天理市)など変わり種も登場している。

 

 極めつきは北海道の大空町。合併10周年の2015年度限定企画で、10万円以上の寄付で、往復航空券+宿泊券のセット。ホテル代を含め最大9万円まで負担してくれ、還元率はなんと90%だ(申し込みは2016年3月31日まで)。

 

 では、もっとも得な寄付の方法はどのようなものだろう。

 

 最大の注意点は、控除額は納税額に応じて上限があること。総務省のホームページに目安が掲載されているが、保険料が低く見積もられているなど、じつはけっこう誤差がある。

 

 具体的には、年収500万円で独身または共働きの人の有効寄付金額はおよそ6万円。妻が専業主婦で、子供が2人いる場合はおよそ3万円となる。

 

 先に紹介した北海道大空町のツアーに、年収500万円で独身の人が参加したとする。有効寄付金額は約6万円なので、10万円(寄付)からその額を引いた4万円の自己負担で旅行(9万円相当)ができる計算になる。

 

 今年、ふるさと納税は大きく進化した。まず、寄付限度額の上限が約2倍になり、クレジットカードで簡単に決済できる自治体も増えた。そして、寄付先が5カ所までなら確定申告が不要になった。

 

 人気商品はすぐ品切れになることも多い。いまからでも遅くはないから、ぜひチャレンジしてみよう。

 

(週刊FLASH 2015年11月3日号)

続きを見る

【関連記事】

ライフ・マネー一覧をもっと見る

ライフ・マネー 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事