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【ガン検査最前線】無害なレーザーを当てればガンが青く光る!
マネーFLASH編集部
記事投稿日:2016.03.22 12:00 最終更新日:2016.03.22 12:00
現在、胃や食道など消化器系のガンの早期発見には、内視鏡での診断が主流である。
「ですが、内視鏡検査での病変の発見率は医師によりバラツキがあり、長期で研鑽を積まなければ診断の精度が上がりません。しかし、『低酸素イメージング内視鏡』により、診断の平均化、 短時間化が可能になります。特別な技術指導も不要です」
こう語るのは、国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科の金子和弘科長。
「ガン細胞は、正常な細胞と比べてより多くの酸素を必要とします。そのため、低酸素状態になるのです」
つまり、低酸素状態を可視化できれば、ガンの早期発見に役立つというわけだ。それを実現したのが、富士フイルムと共同開発したレーザー制御技術と画像処理技術なのだ。
内視鏡に搭載された特殊なレーザー光を患部(浮腫やただれた部分)に当て、その反射光をセンサーでキャッチする。レーザー光の患部への吸収のされ方によって、患部が低酸素かどうかがわかる。低酸素状態であれば患部が青く、高酸素状態であれば赤くモニターに表示されるのだ。
「内視鏡で見ることができる部位は、すべて対応可能です。体内を光らせるような薬剤を入れる必要がなく、人体にも無害です。これまでの内視鏡検査では腫瘍の色合いや凹凸で診断していたため、ガンの範囲がなかなかわからなかったのですが、この検査だとそういったこともわかるようになりました。超早期のガン診断が期待されます」
低酸素状態は早期食道ガンの100%、大腸腺腫・ガンの 86%、咽頭ガンの67%で確認できたという。
「抗ガン剤治療を受けている患者さんの場合なら、ガン部位の色の変化で効果があるかどうかの判断ができます。日本の内視鏡診断技術は世界ナンバーワン。今後は世界に普及させていきたいですね」
そう金子科長は意気込む。実用化まではあと2〜3年を見込む。いよいよ最終段階だ。
(週刊FLASH 2016年2月9日号)