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ふるさと納税「総務省の自粛要請」で廃止されそうな逸品
マネーFLASH編集部
記事投稿日:2016.06.02 18:32 最終更新日:2016.06.02 18:32
「ふるさと納税 偏る恩恵」――。
4月13日付の「朝日新聞」(東京版)は、ふるさと納税の黒字が、上位の自治体に集中していると報じた。
寄付額を増やすため、ラインナップを充実させたり、還元率(寄付金額に対して、どれくらいの価値がある返礼品がもらえるか)を高めたり。さながら自治体による〝返礼品合戦〞の様相を呈している。
その結果、転売目的で寄付し、ネットオークションに出品する不届き者も現われる始末だ。4月1日、業を煮やした総務省は、返礼品自粛を要請する通知を発令した。いわく、
①プリペイドカードや商品券など「金銭類似性の高いもの」
②電気・電子機器や貴金属、ゴルフ用品など「資産性の高いもの」
③寄付額に対し、「返戻割合(還元率)の高い品」
を送付しないように、というのだ。
総務省の担当者は「通知には強制力はなく、罰則もない」と言うが、これには多くの自治体が震え上がった。
「3月から還元率を7割から6割に減らし、これまで無制限だった感謝券への寄付額の上限を10万円に減額。現在、券には『転売禁止』と印字しています」
こう説明するのは、商品券と同様に使える「感謝券」が人気で、昨年は約18億円の寄付金を集めた千葉県大多喜町。長野県飯山市も「マウスコンピュータ製のPCの取り扱いを中止しました」と残念がる。
このように、「おトクすぎる」と支持されていた商品券や家電、PCなどの返礼品が続々と廃止・縮小されているのだ。
ふるさと納税の達人・金森重樹氏は総務省の対応をこう批判する。
「自治体間の競争があったから今のブームがある。国に箸の上げ下ろしまで規制されるなら、地方自治なんかやめてしまえということになる。還元率がこれ以上下がれば、寄付は減りますよ」
それでもまだ、千葉県勝浦市の「かつうら七福感謝券」のように高い返戻率のものがある。また、岡山県備前市では家電商品、兵庫県三木市ではゴルフ関連の商品がもらえる。
返戻率の高い自治体に話を聞くと、たんに寄付金欲しさでラインナップしているわけではない、と口をそろえる。
「農水産物だけだと、特定の事業者にしか恩恵がいかない。町の電気店や自転車店などにも恩恵があるように、返礼品として採用した」(岡山県備前市)
「三木市は市内に25カ所のゴルフ場がある。のこぎりなど金物の技術を生かしてゴルフクラブも製造している。一方的にゴルフ用品はダメというのはおかしい」(兵庫県三木市)
また、茨城県日立市や長野県伊那市、大阪府大東市などの有名メーカーの「企業城下町」は、製品を地元の「特産品」だとし、継続の姿勢だ。
自治体が返戻率を下げる前に、いますぐ申し込もう。
(週刊FLASH 2016年5月3日号)