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「タマ(弾)よりマタ(股)」ビデオシネマに起きた大革命

夜バナ 投稿日:2016.08.18 20:00FLASH編集部

「タマ(弾)よりマタ(股)」ビデオシネマに起きた大革命

Vシネマの帝王と呼ばれる小沢仁志

 

「ビデオシネマ文化が浸透していなかった1980年代は洋画レンタルビデオが全盛の時代。これを真似て作られたのが東映ビデオのビデオ専門レーベル『Vシネマ』でした」

 

 そう語るのは、『別冊映画秘宝90年代狂い咲きVシネマ地獄』(洋泉社)を企画したライターの高鳥都氏。東映Vシネマ第1号は世良公則主演『クライムハンター 怒りの銃弾』(1989 年)であった。その革新性について高鳥氏は「ビデオシネマを量産し日本に根づかせるきっかけを作った」ことだという。

 

「当初はガンアクション中心で、金がかかる作品が多かった。低予算な現代のビデオシネマとは違う部分ですね」

 

『Vシネマ』の大成功ゆえ、その言葉が定着して後年“ビデオシネマ=Vシネマ”と呼ばれることが多くなった。そもそもビデオシネマとは、ビデオでのみ観られる映画のこと。広義の意味では、劇場公開されていても、メインマーケットをレンタルビデオに定めた作品も事実上含まれる。

 

 ビデオシネマの利用者は男性中心であったことも作品の性格を決めた。

 

「『XX』シリーズのようにアクションと艶技の組み合わせの作品が多いのはユーザー層にハマっていたという証明になります」(高鳥氏)

 

 アクション中心だったビデオシネマの中身に変化が訪れたのは、1992年ごろ。「エロ系」「ギャンブル系」「金融系」などが新たな定番となっていく。

 

「タマ(弾)よりマタ(股)のほうが、安くて効果が得られた。エロとはいえAVとは違い、レンタルビデオ店の18禁コーナーを潜らなくても借りられたことも大きい」と高鳥氏。

 

 撮影技術にも変革が起こったという。

 

「1994年ごろから映画のような“フィルム撮り”が減り、安価な“ビデオ撮り”が増え始めました。その結果、映像はより生々しいテーマを求めるようになります」(高鳥氏)

 

 そして、1995年『OLの性』、1996年『人妻の性』の実録もののヒットに繫がる。1995年の製作本数180作品から、エロ系の増大で、1996年には240作品以上に増えた。

 

「Vシネマの帝王」小沢仁志が熱く語る。

 

「俳優や女優には『劇場公開』作品しか出ないってヤツもいるようだけど、俺はVシネでも映画本編だと思って作ってる」

 

 ビデオシネマは「若い才能を育てる場」だと力説する小沢。

 

「映倫のチェックがないから、描写も規制に縛られず自由な作品が作れる。少ない予算やスケジュール、アクションなどハードな現場だからこそ、役者の力が鍛えられる。Vシネマは日本映画の未来を支えているんだ。Vシネマがなかったら今の俺はなかったし、今後も全力で恩返しするつもりだ」

 

【ビデオシネマ「四半世紀の歴史」】

 

●1989年  東映ビデオから日本初のビデオシネマレーベル「東映Vシネマ」がスタート。世良公則の主演作品『クライムハンター 怒りの銃弾』が第一弾となる。

 

●1990年  にっかつビデオ、日本ビデオ映画、松竹ホームビデオ、ジャパンホームビデオ、東北新社などがビデオ映画参入。東映Vシネマ初年度売り上げが、22本で50億円であったと朝日新聞が報道。『女教師仕置人復讐の女神』(かとうれいこ主演)などが発売。

 

●1991年  三池崇史が『レディハンター』(柏原芳恵主演)で監督デビュー。同年に『突風! ミニパト隊』を監督する。

 

●1992年  アクション系が下火となり、エロ系(『AV女学院』)、ギャンブル系(『雀鬼』)、金融系(『ミナミの帝王』)シリーズが新定番に。ケイエスエスがビデオシネマの量産体制に。

 

●1993年  東映ビデオ『XX 美しき凶器』(宮崎萬純主演)が劇場公開。シリーズ化する。哀川翔と竹内力がアウトローのスタアとなる。

 

●1994年 「フィルム撮り」が減少し、安価な「ビデオ撮り」が主流に。『Zero WOMAN 警視庁0課の女』(飯島直子主演)や人気シリーズ『女教師』が発表される。

 

●1995年  東映ビデオ『痴漢日記』シリーズ、ケイエスエス系のピンクパイナップル『痴漢白書』シリーズがスタート。『OLの性』、『人妻の性』などがシリーズ化し、オムニバスのセクシー作品がブームに。

 

●1996年  ミュージアム(現在のオールインエンタテインメント)が参入。独自の営業スタイルと量産体制で「アウトロー系」と「エロ系」の2大体制を確立させて今日に至る。

 

●1999年  ENGELが『忍妖女』で参入し、セクシー作品を量産。東映ビデオが『呪怨』を発表。のちにハリウッドでリメイクされる。

 

●2002年  東映ビデオが『全国テキ屋魂 第二部』で特撮以外の自社制作を一度休止。大映が角川書店の傘下となり、ビデオ映画の制作を休止。

 

●2004年  哀川翔の主演100本めの記念作品『ゼブラーマン』が劇場公開される。

 

●2007年 『ミナミの帝王』シリーズが休止。

 

●2014年  東映Vシネマが25周年を迎えて、名作25作品を再リリース。

 

(週刊FLASH 2016年8月2日号)

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