夜バナ
55歳300人切りオヤジ、キャバクラで女の子を落とせるか(11)
夜バナFLASH編集部
記事投稿日:2016.10.02 20:00 最終更新日:2016.10.12 13:09
キャバクラにもずいぶん通った。いま僕が狙っているのは、えりこちゃんとみなきさんである。いったいどっちと先に最後までたどり着けるのか。
えりこちゃんとは、先日2人カラオケでキスまで果たした。その先、どう攻めようか考えていたが、急いては事を仕損じることもある。それで1週間ほど間を空けることにした。
今週はみなきさんと会うために店にいく。今日、えりこちゃんが出勤しないことは本人に確認済みである。店員に席を案内されたので、焼酎を頼み、みなきさんを指名した。
みなきさんが来た。「1週間ぶりですね」と先に声をかけた。「ええ」と答える。
「スマホアプリ入れた?」
「入れましたよ。すごく便利です」
おすすめとして、電話の自動録音アプリを紹介しておいた。常に過去1カ月間の通話が自動録音されるので、電話での約束を忘れたときに確認できて便利だ。
これを聞いたのは、前回、スマホの話で盛り上がった状況を思い出させるため。そして今日はタクシーのアプリを用意している。タクシーに乗る機会が多いと言っていたからだ。乗車場所と降車場所を入力すると、料金と時間と道順が表示される。1回会うごとに有益なアプリを1個ずつ紹介している。会うといつもメリットがあると思わせたい。
アプリを紹介すると喜んでいた。ここで布石を打っておこう。
「みなきさんはアフターしたことありますか」
「ありますよ」
「どんなところ行きました?」
「居酒屋とかお寿司とか」
「なら今度、居酒屋でアフターでもどうですか」
「いいですよ。終電あるので11時30分までですけど」
ちょうどそこで時間が来て、みなきさんがほかの席に行ってしまった。だが、次回の予定が決まっているので焦る必要はない。今日は帰ろう。
店に行かない間もラインで連絡した。「雨ふりはだるい」とか「ねむい」とか「着ていく服が決まらない」とか、たわいもないやり取り。現状報告的な内容だ。それでいい。
今日も同じようにスマホがチャランとなった。みなきさんからのラインだ。開かなくても内容はわかった。「彼氏と喧嘩した」と入ってきた。みなきさんが現状報告以外の、感情の起伏があるメールをしてくるのは初めて。
チャンスだ。
大きな失敗をした、店長に怒られた、友達に裏切られた、自分が嫌になったなど、女の子が精神的な傷を受けているときは大きなチャンスだ。
ラインを開き、「小喧嘩?中喧嘩?大喧嘩?」と返信。「中」と返事。
「泣いた?」
「うん」
「どっちが原因?」
「わたし」
そこで、すかさず「今日店に行きます」と返信した。
「ホント? 9時前に来れる?」
「大丈夫。居酒屋で1時間アフターできる?」
「いいですよ」
夜9時10分に入店し、みなきさんを指名した。
「今日は来ないかと思った」
「約束は守るよ。でもちょっと遅れちゃった。仕事の締め切りで……ごめん。HPのキャラクターの作成だよ」
「へ~」
「カエルくんとウサギくんで迷っている? どっちがいいと思う?」
「そ~ね。わたしならカエルくんを選ぶ」
「ほ~、なんで」
「げらげら鳴くのが大声で笑っているみたいでかわいい」
なるほど、あれを笑いととるか。面白い感性だ。「じゃ色は?顔の形は?」と話している間に店員が来た。チェックして店の前で待つ。
雰囲気のいい居酒屋で1時間くらい雑談を楽しんだ。この居酒屋を選んだ理由は、近くにカラオケボックスがあったからだ。
「お酒も入って1曲歌いたいね。カラオケ30分どう?」
彼女もほろ酔いのまま「いいよ」と即OK。親密な話は個室がいい。それに2人で個室に入ることに慣れさせておく必要がある。カラオケに入り1曲ずつ歌ったところで、彼の話を振る。
「彼氏とは仲直りした?」
「まだよ」
「原因は?」
「同伴とアフターを減らしてくれと言われたの」
「もともとお客さんなの?」
「そう。仕事だから同伴は了解済みだったのに、今になって減らしてほしいと言うのよ」
こんなときは意見や答えを探そうとしないことが一番だ。ただ聞くだけでいい。話を聞き終わったところで、「そ~かぁ」と親身に返事してからスマホのアプリの話に切り替えた。
「このアプリどう?」
「いいですね」
スマホではもう先生役も馴染んできた。次はテニスで先生役になりたい。教える振りして体に触れるからちょうどいい。
「みなきさんテニスしたことある?」
「ないです」
「気晴らしにやってみない? 青空の下で汗流したらスッキリするよ」
「できないですよ」
「教えてあげるよ」
すこし迷ってはいたが「やってみようかな」と決意してくれた。スマホの先生役が効いたみたいだ。
「じゃ今度の日曜日どう。午後2時に駅まで迎えにいくよ」
「わかった」
「足のサイズはいくつ?」
「22.5」
「靴は用意しておくから」
「ありがとう」
靴の話をしたのは、靴を買った以上、キャンセルしにくくなるという念押し。よし、これでスキンシップに進展だ。しめしめ。